『モンキーピーク』(志名坂高次・粂田晃宏)生き残るのは人間か“猿”か?登山アニマルパニックホラー+ヒューマンドラマが相変わらず面白すぎる!!

 ここ最近、「山ガール」なんて言葉が流行り、登山がちょっとしたブームになった。登山をテーマにしたマンガ、例えば『岳』や『神々の山嶺』などは実写映画化もされた。『ヤマノススメ』はアニメ化し、さらに人気を博した。

 そんな登山をテーマとしたパニックホラーマンガ『モンキーピーク』が「面白い」と話題沸騰中だ。現在6巻までリリースされている。登山でのパニックやサスペンスを描いたものは比較的想像ができると思うが、登山に絡めた純粋なホラーというのは少々珍しい。しかも『モンキーピーク』は名前の通り、“猿”と呼ばれるモンスター(?)が登場するモンスターパニックホラーなのだ。

 登山中に“猿”に襲われる……それだけなら『モンキーピーク』は、よくあるモンスターパニック作品のひとつだったかもしれない。しかし、『モンキーピーク』の魅力はこれだけれはない。『ウォーキング・デッド』で見られるような、ヒューマンドラマが色濃く絡んでくるのだ。登場キャラクターたちは、“猿”に怯えながら、仲間同士の駆け引きと心理合戦にもさいなまれる。自分の敵は“猿”だけではなく、身内にもいるのだ。

 生き残るために、仲間同士の信頼と裏切りが交差していき、疑心暗鬼が蔓延するなか、それでも手を取り合わなければならない。山という平地続きの先で起こる出来事であるが、そこは完全に陸の孤島であり、『モンキーピーク』はある種のソリッドシチュエーションスリラーの一面も兼ね備えているのだ。

 これだけでもかなり魅力的な作品だが、キャラクターそれぞれが非常に分かりやすく設定されているのも魅力だ。自分が正義と信じる剛腕で残酷無比なラガーマン、男を信用しない孤高の女、勇気はないが知識は豊富な理系男子、ずる賢い男と媚を売るブリっ子女……などなどそれぞれが明確な役割を持っているがため、関係性が非常に分かりやすい。そのため、物語の状況がスッと頭に入ってくる。

 第1話では40人もいた集団(『モンキーピーク』は中小企業の製薬会社が、社内レクリエーションで登山をした際に起きた悲劇の物語)だが、気づけば10人になっており、いわゆる“モブキャラ”の減らし方も絶妙だ。一気に減らすときは減らし、ヒューマンドラマで魅せながら減らすとき、少しずつ減らす。

 最新刊の6巻では、剛腕ラガーマン・安斎との確執、理系男子の遠野と孤高の女・佐藤との人間関係などが、辿りついた山小屋で繰り広げられる。その先で起こる“猿”たちの襲撃。最終ページに描かれた衝撃的なシーンは、意味的にも展開的にも、これまでの読者にとってかなりの【衝撃】であったことはまちがいないだろう。

 最新刊のラストで起きた新たな境地で、彼らに生き残る希望の光が見えるのかどうか。完全に次巻までお預けを食った終わらせ方が憎らしい。しかし、常に誰か脱落する(死ぬ)かもしれない緊張感の中に、緩急と起伏を持たせることで、ただ死ぬという一辺倒になりがちなホラーマンガを決して飽きさせない物語展開に昇華させる手腕は、お見事の一言だ。

 6巻までリリースされているが、これから手に取る人でも十分に追いつける。物語の時間経過としては、登山が始まって1週間も進んでいないのだ。展開が遅いのではない。時間の進み方が極めて濃密なのだ。

 一度読み始めたらすぐにページをめくる手を止められなくなるだろう。まちがいなくオススメだ。
(文=Leoneko)

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モンキーピーク 1
掲載誌/レーベル:漫画ゴラク
筆者:志名坂高次・粂田晃宏
出版社:日本文芸社

ゴブリンスレイヤー

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何かと話題ですよね。

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