昨年デビュー1stアルバム『六道羅刹』をリリースし、ツアーやフェスなど精力的に活動しているRakshasa(百合:Vo、橘花:Gt、篤志:Gt、夜摩:Ba、怜生:Dr、崇:Key)が、アルバムより半年という短いスパンでの5曲入りEP『憂愁録 – 月読』をリリースした。
前回のヨーロピアンメタル・ミーツ・ジャパニーズエッセンスというコンセプトは引き継がれたまま、Rakshasaというメタルが詰め込まれたよりハードに、よりメロディアスに仕上げられたEPだ。
さっそくメタル大好きおたぽる編集部ではバンドにコンタクトを取り、インタビューを敢行してみた(怜生は大人の事情で不在)。
――前回の『六道羅刹』も印象的なタイトルでしたが、今回のEPも『憂愁録 – 月読』と漢字のみの構成で実に印象的ですね。どういった思いが込められているのでしょうか。
夜摩:バンドにとって、曲はひとつの物語ととらえているんだ。アルバムは長編集、EPは短編集といったようにね。
短編集のタイトルを決めるにあたり、ひとつのコンセプトを立てたんだ。それが、短編集の名称形式を『●●●録-▲▲▲』と言う形にするというもで、●には主にサウンド、▲にはアートのテーマが入れようと。今回の収録曲は全て、内に様々な悲しみがこめられた曲ばかりなので「憂愁」。アートコンセプトとして日本神話を取り上げたので、タイトルトラックでもある「月読」を配置したのさ。
――前作のフルアルバムから半年でEPをリリースと、スパンが短かったですね。
夜摩:アルバムリリースから半年が経過した記念に何かしたいと思っていたことろ、百合からEPをリリースしないかって案が出たんだ。
前回のアルバムに収録されている曲は、何年も前に書いた曲や、別のバンド用に書いた曲を改変したものが含まれていたからね、新たに書き起こした楽曲を収録することで、Rakshasaの“現在”を表現するに相応しいアイデアだと思ったよ。
――バンドの世界観ですが、少々雰囲気変わりましたか。
夜摩:元々Rakshasaは日本語で“羅刹”なので、和風でかつ暗いイメージをテーマにしていたんだが、今回のEPを作るにあたり、明るいイメージにしたいという意見が多くてね。ソングライターである私と橘花のふたりは暗いイメージを好むのだが、せっかくのEPだし冒険心も許されると信じて、今回はメンバーの意見に沿ってみたんだ。
そこで最初に考えたのが、これまでの仏教的な恐ろしさを孕む「和」から、神道系の清浄で神秘的な「和」にすること。今回は百合が「月読」に合わせて白を基軸とした日本神話の神様や天女のような衣装を選ぶことが決まっていたので、彼女を軸に、古い書物のようなざらついた質感を前面に出しながら、どこか懐かしくもノスタルジックで美しい世界に持っていきたかったんだ。
――百合さんのこの衣装は神様をイメージしているのですね。
百合:はい。月読そのものをイメージしました。
前回は黒ベースの着物だったので今度はもう少し派手にしたかったのと、和風バンドだとどうしても他のバンドとイメージが被ってしまうので、この際神様になったら新しいRakshasaのイメージになるだろうと。まぁRakshasaは羅刹であって、神様とは真逆なんですが……。
夜摩:音もイメージも全く違うのに、和をテーマに日本語の歌詞でクリーンの女性ボーカルが歌うメタルってだけで、あるバンドと比較されてしまうことが本当に多いんだ。光栄なことではあるんだが、正直、ソングライターのふたりが全く影響を受けてないのにフォロワー呼ばわりされるのには辟易しているので、そのイメージを払拭する意味でもこの判断は正しかったと思うよ。
――そのリードトラックである「月読」はどのようにして生まれたのでしょうか。作曲者は橘花さんのようですね。
橘花:この曲は前作『六道羅刹』におけるメロスピ曲「慟哭の海」のポジションに該当する曲なのですが、「慟哭の海」はメロスピ一直線で和要素が全く無かったんですよね。なので今回は、いかに和要素を兼ね備えたメロスピを作るかというのを前提に、作曲に取り組んだんです。
結果的にキーボードに和音階を多用してみたり、三味線を入れてみたり、Rakshasa初の3連符のリズムの変化を用いたり、小刻みに休符が入るメタルコア風のパートがあったり、ギターとキーボードの高速でハモるソロセクションがあったりと、和を感じさせつつもかなり聴き応えのある楽曲に仕上がったと思います。
――歌詞はいかがでしょうか。
百合:橘花から最初にデモをもらったときに、「長い間冷静に世界や人間を見てきた月読をイメージして作曲した」と教えられたんです。そこに私なりの解釈をプラスしました。
月読は日本を代表作する神様「天照大御神」と「須佐之男」の姉弟ですが、先のふたりに比べ出番が全然ないんですよ。須佐之男と同一神説など様々な憶測が飛んでいたり、性別についてはっきりと記されてはいなかったりしています。唯一神話の中で出てきた話では、姉の天照大御神とのけんかの末、朝と夜が分かれたというなんとも不憫な神様なんです。
本当は月読自身もっと存在意義を望んでいたら…本当は好きだった姉と決別してしまって辛かったら…など思いを馳せ、月読の苦悩や葛藤を歌詞にしました。
歌も女性的になりすぎない様に意識したので、特にラストハイトーンとか、百合史上最高にパワフルになっています。
Rakshasa『憂愁録 – 月読』リリースインタビュー「神道系の清浄で神秘的な「和」にして、懐かしくもノスタルジックで美しい世界に持っていきたかった」のページです。おたぽるは、インタビュー、その他、音楽、メタル、インタビュー、Rakshasaの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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