エログロ・ソリッドシチュエーションスリラー再び!『ドクムシ the ruins hotel』美しいタッチで描かれるデスゲーム!今度のコドクの目的は??

2018.04.12

ドクムシ the ruins hotel

 小説投稿サイト「エブリスタ」から人気を発し、文庫化した八頭道尾の小説『コドク~蠱毒~』を知っているだろうか。後に『ドクムシ』としてマンガ化され、劇場実写化までされている。

 話としては、ストレートなソリッドシチュエーションスリラーを基盤にしたエログロホラーだ。極限状態に追い込まれた人間たちの酒池肉林、ロリコン趣味、カニバリズムと、完全に人を選ぶタイプの物語であった。

 投稿小説がもとになっているということもあり、原作はプロの作家が作ったとは言い難い設定の穴や表現の稚拙さがチラホラと散見される作品ではあった。しかし、エンターテイメントとしては完成されており、多くの指示を得て人気となった。

 原作もマンガ版も完結しているのだが、数年の時を経て新たな『ドクムシ』が誕生した。その名も『ドクムシ the ruins hotel』である。

 まずは公式の紹介文を引用しよう。


 オカルトサークルのメンバー6人が、夏休みに廃墟のラブホテルで合宿を行うことになった。

 先に侵入していた2人も加わって合宿は始まったが、2日目の朝、メンバーの女性が全裸で拘束されているのが見つかった。

 しかも出口が何者かに施錠され、建物は完全な封鎖空間になった。8人の中に、3年前の事件の生き残りがいるのか!?

 大ヒット・ソリッドホラー、再び!


 今回の『ドクムシ』は、目が覚めたら見知らぬ部屋……のようなソリッドシチュエーションスリラーの基本ではなく、自ら密室となる環境に乗り込み、気が付いたら巻き込まれていたというパターンだ。どちらかというと、状況設定は密室殺人のミステリーに近い。

 見えない犯人が、少しずつ登場人物を精神的にも肉体的にも追いつめていく。ある者は殺され、ある者は犯人として疑われていく。

 お互いの疑心暗鬼がつのっていく中で、生き残るために裏で行われる心理戦。結束と裏切りが目まぐるしく交差していく。

 前作はドンデン返しのような設定が存在していたものの、B級ホラー色が強かった。しかし今作はホラー色を残しつつも、スリラーやミステリー色が(第1巻のいまのところは)強いと言ってよさそうだ。

 もちろん前作の魅力のひとつであったエログロ要素も兼ね備えており、凌辱監禁、レイプなどの描写も存在するし、ロリコン要素を兼ね備えたキャラクターも登場する。これらは従来の『ドクムシ』ファンを意識したものだろう。

 前作は合田蛍冬氏が描いており、少年マンガ風のアニメチックな作画であったが、今作より恵那氏にバトンタッチされている。絵が、線が細くて美しいタッチで描かれ、どこか少女マンガっぽい耽美さも感じられるのも今作の特徴と言えよう。

 いきなり今作から読んでも問題ないような構成となっている。しかし、前作の登場人物の名前がチラホラと出てくるので『ドクムシ』を読んでおくとさらに理解が深まり楽しめるかもしれない。

 第1巻だけでは黒幕が誰なのか、隠されている秘密などさっぱり分からない状態であるが、物語の序章・導入としては大成功している。第2巻は8月発売ということで、いまから続きが楽しみである。
(文=Leoneko)

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ドクムシ the ruins hotel 1
掲載誌/レーベル:アクションコミックス
筆者:恵那 八頭道尾
出版社:双葉社

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