『さよならの朝に約束の花をかざろう』岡田麿里が描く超感動の母子愛!「愛して、よかった」の意味を理解した時、あなたの涙腺は崩壊する…

 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心を叫びたがってるんだ』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』や『花咲くいろは』、『ブラック★ロックシューター』などいまや大人気アニメ脚本家となった岡田麿里が初めて脚本と監督を手掛けた劇場用アニメ作品『さよならの朝に約束の花をかざろう』が公開された。

 この作品はP.A.WORKSが制作し、キャラクターデザインに『FINAL FANTASY XIV』の吉田明彦、作画監督に『凪のあすから』石井百合子など、そうそうたるメンバーが起用されている。声優には、主人公・マキアに『ゲーマーズ』や『クジラの子らは砂上に歌う』などに出演した新人の石見舞菜香、エリアルに『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『言の葉の庭』や『千と千尋の神隠し』など様々な作品に出演している実力派の入野自由が起用されている。その他、茅野愛衣、梶裕貴、沢城みゆき、細谷佳正、杉田智和、日笠陽子などアニメファンなら誰もが知っているだろう人気・実力ともに兼ね備えた演者が揃っている。

 『さよならの朝に約束の花をかざろう』のキービジュアルを見ると、何も予備知識がなければ白い肌の美少女と、膝枕で寝る少年兵士の恋の物語とほとんどの人が想像するだろう。だが、『さよならの朝に約束の花をかざろう』は恋の物語ではない。“愛”の物語だ。しかも、母子愛である。そう、あのキービジュアルの美少女は実は母親であり、少年は息子なのだ。

 『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、無償で永遠の母子愛を美しくも残酷に描いた作品なのである。

 公式の紹介文を引用しよう。

 縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。

 人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。

 両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。

 絶望と混乱の中、イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。

 少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。

 ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
さよならの朝に約束の花をかざろう公式HPより


 主人公・マキアは紹介文にある通り、10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ“別れの一族”イオルフ。なぜイオルフが“別れの一族”と呼ばれるのか。イオルフの掟として、外の世界に出たら誰も愛してはいけない、愛したら本当の一人になってしまう、というものがある。それが今作の鍵だ。

 他国の襲撃の混乱により、一人ぼっちになってしまったマキアが出会ったのは、両親を殺された一人ぼっちの赤ん坊。その赤ん坊をエリアルと名付け、母親代わりとなって育てていく。マキアは自分の意志とは別でイオルフの村を出てしまうことになったのだが、そこで心のよりどころとなるものを手にしてしまったのだ。

 血はつながっていなくても、マキアはエリアルのためだけに生きていく。「外の世界に出たら誰も愛してはいけない」というイオルフの掟を破って。

 決して裕福ではないけれど、二人は親子として慎ましやかな幸福をつむいでいく。エリアルはすくすくと成長し、やがて思春期に突入する。そこで起きる親への離反、そして横たえる本当の親子ではないという事実。

 マキアの元を離れ、メザーテ王国の兵士として新たな人生を歩み始めるエリアル。やがて始まる他国からの軍事介入。

 運命のいたずらがマキアとエリアルの距離を残酷にも引き離していくが、マキアのエリアルを“母”として愛する心は常に在り続ける。軍事介入が止み、陥落した王国に残されたものは一体なんだったのか。

 イオルフの民として全てを受け入れ、“母”として愛を手にしたマキアの最後の行動を、涙なくしては観られないだろう。公式サイトやパンフレットに刻まれた「愛して、よかった」の言葉の意味を理解したとき、『さよならの朝に約束の花をかざろう』の真の感動を覚えられるはずだ。鑑賞中、辺り一面からすすり泣く声が絶えず聞こえた。

 過去の岡田麿里とは異なるファンタジーの世界で描かれた母子愛の物語は、新海誠の『君の名は。』とは全く方向性もテーマもちがう作品ではあるが、同等レベルに歴史に名を刻む名作であることにはまちがいがない。数字だけで人気のバロメーターを計ってはいけないのだが、今後アニメファン層だけでなく、どれほど一般層にまでこの感動を届けることができるか。一人でも多くの方に触れて、愛を感じてもらいたい作品だ。
(文=Leoneko)

さよならの朝に約束の花をかざろう 公式設定資料集

さよならの朝に約束の花をかざろう 公式設定資料集

かなり分厚い!物語を補填する内容が充実しまくり!!

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