「マンガの人たち」の信用は地に堕ちている──青少年健全育成基本法案の本当の問題点

2018.03.25

※イメージ画像( Photo By kaex0r from Flickr)

「表現の自由を守ろう」と立ち上がるオタク……マンガ・アニメファンたちは、気づいているのだろうか。自分たちは、もはや信用されない存在だということを。自民党が今国会への提出を予定しているとされる「青少年健全育成基本法案(青健法案)」をめぐる問題……。連呼される「表現の自由」が何かを今一度考えると「不都合な真実」が見えてくる。

■表現を規制する新たな「魔法の手」

 自民党内の青少年健全育成推進調査会で青健法案について話し合われたのは、今年2月のことだ。機関紙『自由民主』の二月二十日号では「青少年健全育成基本法案の今国会成立を 青少年健全育成推進調査会」として、その概要が解説されている。これによれば、青健法案は青少年の健全育成のための理念と国や自治体・保護者の責務、健全育成のための「努力義務」を事業者に課すとされている。

 条文は、2014年に自民党が国会に提出したものの時間切れで廃案となった「子ども・若者育成支援推進法案」が、多くの変更を経て復活したものである。

 この法案がホットな話題になっている理由は「子ども・若者育成支援推進法案」よりも「青少年の健全育成」を目的に「表現の自由」を侵害する恐れがあるとされるからだ。

 現在、明らかになっている法案では「十八歳未満の青少年に対しては、良好な社会環境の整備が図られるよう配慮されなければならない」という一文が存在している。これが、マンガやアニメ、ゲーム、インターネットコンテンツなど、あらゆるものを取り締まることのできる「魔法の手」になるのではないかと恐れられているのである。

 つまり、各都道府県の条例によって行われていた「有害情報」の規制を、国のレベルまで引き上げで実施しようとする目論見だとみられているのである。

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