■せっかちな人ほど、声は大きくなる~相手を色で包むイメージ~
司拓也氏(以下、司) また、声が大きい人が意識したほうがいいのは「喋っているときの空気の流れ」ですね。例えば、大阪のおばちゃんが「あんた何してんのっ!!!」と怒鳴っている姿を想像してみてください。これは、「ひたすら吐くだけ」の声で、うるさく感じます。大きくても聞き心地のいい声は、しゃべっている間も喉が開いていて、空気の流れがあります。
――しゃべっている間は「吐いてばかり」ではないんですね。
司 そうなんです。ほか、声の大きい人への対策として、声量を数値化するという手もあります。声量を10段階で数量化してもらって、「10」なら「5」の声量を出してもらい、実際それを録音して聞いてもらいます。5で通じますね、というように、客観的に自分の声を聞くことで、声量が調整できるようになります。
あと、会話において「ワンクッション」がない人も声が大きくなりがちです。
――私がまさにそうです。すぐ答えたいんですよね。
司 反射的な反応は、感情が乗るので声は大きくなってしまいがちですね。
――どうしたらいいのでしょうか。
堀澤 声を「伝言するための手段」ではなく、「相手へのプレゼント」だと思うといいですね。相手に「どんな感情で受け取ってほしいのか」を色に例えてみるといいですよ。情熱なら赤、優しさならピンク、感謝なら金色とか。その色で相手を包むイメージで話してみる。
相手にどんな感情を伝えたくて、相手を何色に包みたくてこの言葉を発するのか、というのをしゃべる前に一度考える。そうすると、一息つけますし、何より、相手に話が伝わりやすくなります。
――色でイメージすると、確かに「大きそうな声の色」もあれば「小さそうな声の色」もありますね。
堀澤 ただ、「声が大きい」と店員さんに指摘されたのは、笑い声ではなかったでしょうか。
――確かに、笑っていたと思います。
堀澤 笑い声は、聞く側の受け取り方もあります。イライラしているときに赤の他人の笑い声は許容しにくいものです。でも、楽しいのに笑うな、というのも無理な話ですよね。相手がいることなので、常に完璧を目指すのは難しい話ですが、考えすぎないのも大切ですよ。それでも、どうしてもテクニックとして試してみたいという方は、口を大きく開けて笑うのではなく、笑ってもいいのですが、口をなるべくあけないで笑うことで、音量を下げることは可能です。
――今回教えていただいたテクを駆使し、かつ声が普段以上に大きくなる飲酒時は個室を予約するなど配慮しつつ、自分を責めすぎないよう励みます。
* * *
声が大きいことを気にするあまり、なるべく小さな声で話そう、と今思えば間違った心がけを長く続けてきた。しかし、地声の大きい人間が頑張って小さい声で話そうとすると、気分がどんどん沈んでいくのだ。「声を小さくするのではなく声を通す」。また、「一拍置く」こと。全国の声デカさんとともに頑張っていきたい。
次回は引き続き堀澤氏、司氏に、「イケボ」とは何なのかについて伺う。
(文/石徹白未亜[http://itoshiromia.com/])]
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