そんな日々の中でも、氏賀の死生観は変わらない。黙々と、マンガを描き続ける日常は続いている。
氏賀の年齢まで生きていれば、幾度か友人知人、家族親族の死に遭遇したはずだ。そうした時に、当たり前に人が死ぬリョナ・グロを描いていることに、疑問を覚えたことはなかったのか。ふっと浮かんだ疑問を、そのまま言葉にして伝えた。
《マンガ家の悪い癖なんですけど、どんな悲しいことがあっても、この感情……自分の今持っている感情は“使える”と思うんですよ》
そう言って、目の前のテーブルに置かれたコップの飲み物をゴクリと一口飲んだ。相変わらず、眼鏡の奥の瞳は真剣で、優しそうに輝いていた。
《物書きって、自分の切り売りなので、どんどん自分のマンガの中に練り込んでいるので……弟が死のうが、妹が誰かに捕まって解体されようが、描けますよね》
それから、またコップを手に取って、飲み物を一口。
かつてマンガ家になりたかった少年は、マンガ家になった。それから20余年の時を経て、彼は全身でマンガ家になった。
おおよそ創作活動をする者にとって、自分にはこれしかないのだと、人生のすべてを賭けても惜しくないものを見つけることができるのは幸せだ。
現在の氏賀と同じ年齢になった時に、どれだけの人が、氏賀のような瞳の輝きを持つことができているのか。
(文=昼間たかし)
■氏賀Y太最新単行本『Dr.乳児郎の憂鬱』はジーウォークより発売中
■「エログロスVol.3」は2月27日発売予定
■氏賀Y太Twitter
@uzigawaita
■ジーウォーク編集部【R-18】Twitter
@gwalkb
氏賀Y太 リョナ・グロとマンガに人生を全振りする男のスケッチ【ルポルタージュ】のページです。おたぽるは、エロマンガ、マンガ&ラノベ、エログロ、昼間たかし、ジーウォーク、氏賀Y太、リョナ、R-18G、成人向けマンガの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
人気記事ランキング
人気連載