――実際、周囲の反響はどうでしょうか。
矢:甲冑に関してもそうじゃが、CDジャケットやデザインに関しても言えることで、あくまで我々はメタルバンドであるから、メタルの枠を越えない衣装を作る必要があった。だからこそ戦国ドラマによくあるような赤や緑とカラフルな紐を活用した甲冑ではなく、黒々としたメタル式の甲冑の制作を依頼しておるのじゃが、それがしを表現するという意味でも大いに役に立ってくれている。周囲の反応は……思った以上に目立っておるようじゃ。
――自分を表現するために甲冑を着るという考えはすごいですね。
佐:要は、己を表現しようとした結果、武士になったということだな。
――己を表現しようとした結果が武士とは男らしいです(笑) 矢城山殿がメンバーをそろえたわけですよね。他のメンバーの皆さんは最初にこのバンドコンセプトを聞いたとき、どう感じたのですか。
葉瀬川(以下、葉):儂はこの話を聞いた瞬間に、コンセプトも音楽的にも「これだ!」と感じました。甲冑もすぐに買いそろえたんです。
――聞いた瞬間にですか!? それはそれですごいですね。佐々殿はいかがですか。
佐:私は正直、「こいつ何言ってんだ?」という気持ちであった(笑) 確か最初に矢城山殿と会ったのは、埼玉のドトールだったかな。
――武士がドトールですか。想像つきませんね。
佐:そのドトールで矢城山殿が紙にコンセプトを書いて説明してくれたのを覚えている。甲冑を着て、バトルメタルで……と。そのときの私は、すぐにその紙をそっと閉じたけどな。
というのも、最初こやつら本気じゃないだろうと思っていたのだ。普通に考えたら、本物の甲冑を着てやるなんてことは想像しないではないか。とりあえずスタジオに入って、一緒に音を出して……と普通のメタルバンドを想像していたのだが、ある日「甲冑買いました」と突然連絡がきたのだよ。私以外の三人がすで購入済みというのだから、これは本気なのだ、と思い直して私も侍になる決意ができたわけだ。
阿弥歌澄(以下、阿):わらわも最初にバンドのコンセプトを聞いたとき、直感的にこれだと感じたのじゃ。だから佐々殿が加入するときに、他の三人で先に買っておいて包囲網を作っておいた(笑)
でもこの甲冑のおかげで音楽以外のものも、観ている人に提供できるのじゃ。総合エンターテイメントといったら大げさかもしれぬが、世界観が作りやすくなり、ライブひとつひとつに物語を持たせることができるのじゃ。
――なるほど。確かにその衣装でステージに出てこられたら、一気にその世界に引き込まれますし、物語という意味では、毎回ライブ前にバンドのTwitterに、ライブを戦に見立てた解説動画をアップしていますよね。ただ、音楽的には和の要素というものがほとんどないように思えるのですが、これはギャップとしてあえてそうしているのですか。
矢:我々は和を表現するためにバトルメタルを用いているのでなく、バトルメタルを表現するために和でなく戦国を用いておる。じゃからギャップをあえて設けたわけでなく、西洋甲冑であれ戦国甲冑であれ、バトルメタルにちがいないという思いがあるわけじゃ。
もちろん、コンセプトに限らずサウンドについても日ノ本のテイストを入れようという試みは常日頃からしておった。しかしシンフォニックで重厚なサウンドが好きなそれがしは、ただただ和音階を活用する手法は取らなかった。
なぜならばニロ抜き、ヨナ抜き音階となれば5つの音で表現をする必要があり、音数を要求されるメタルサウンドでの活用になかなか向かないという点があげられる。また、単に尺八や琴、三味線を用いるだけでは巷で和楽器を活用しているバンドと何ら変わらないバンドになってしまう。
じゃからメタルの枠を越えない範囲で新たな試みをしていきたいという思いから、あえて「シンフォニックでいかに戦国を表現するか」という手法を用いておる。ゆえに装飾音符を多様したり、和音階は控えてモードを活用したり、メロディラインにおいて独特な音選びが出来ているのではないか、と感じておる。
ただ今後ニロ抜き、ヨナ抜き音階を活用する手法を用いることは……ゼロではないであろう。
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