鬱ゲー『コ・コ・ロ…』のエロアニメ版もかなりヤ・バ・イ…トラウマが呼び起すものは愛か狂気か？

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『コ・コ・ロ…』第1巻/アリスJAPAN

　最近、エロゲー配信プラットフォームであるアニゲマが、古き良き時代の難解なシナリオのゲームを頻繁に配信している。

　ということで、エロアニメレビューも古いエロゲーのエロアニメ化作品をレビューしようと思う（わりといつも古い作品が多いが…）。ということで、今回は『コ・コ・ロ…』だ。

　『コ・コ・ロ…』は1998年にアアルからリリースされた。当初はボイス無しだったところに時代を感じるが、後にボイス入り版もリリースされた。

　今作は近親相姦をテーマにしたエロゲーである。しかし、近親姦や少年愛など公序良俗に反する部分が目立つとして、発売後に販売禁止となり回収となった。その後、アアルのソフ倫脱退を経て、メインヒロインのひとりである久遠寺明日香の設定を「妹→義妹」に変更し、自主審査で再発売されたという歴史を持つ。

　当時の売り文句が「90％以上がHシーン」だった。これだけ見ると、ハッピーな抜きゲー色が強そうに思えるが、実際は陰惨であり、殺人・トラウマ・レイプ・男色などのダウナー系の内容だった。人によっては鬱ゲーとなるだろう。しかしCGが非常に美しく、売り文句そのままHシーンも豊富で抜きゲーとして使えなくもない特異な立ち位置のゲームであった。

　ではエロアニメ版はどうか。リリースはアリスJAPAN。まずは紹介文をみてみよう。

第1巻
　久遠寺宗治は、絶世の美男子である。彼の容貌に惹かれる女の子達を宗治は狂気に近い行為で次々と抱いていった。それは過去の体験に起因しているのだが本人にその記憶はない。夢の中の美女が…。

第2巻
　主人公宗治は、女教師との関係を機に、少年期のトラウマで閉ざされた感情と心を取り戻し始める。宗治に歪んだ愛情を抱く義妹明日香は、宗治の記憶を暴き立てる…。果たして宗治は「ココロ」を取り戻すことができるのだろうか！？

　原作エロゲー版を踏襲し、アニメ版も主人公・久遠寺宗治は超絶クールで、誰もが羨む美男子として描かれる。しかし、常に目の光を失っており、どこか秘密めいた影がある。そして義妹である久遠寺明日香は、エロゲー同様、兄である宗治に歪んだ愛情を持った変態妹して描かれている。

　冒頭、明日香の友人・秋葉真結美と兄に肉体関係を持たせ、それをこっそりのぞきながら明日香は自慰行為にふける。明日香は兄が他人とまぐわうのを観ながらするそれが好きなのだ。彼女の精神の倒錯っぷりはなかなかのものだ。しかも自慰だけではり物足りず、自らも兄を欲しがる強欲ぶりである。

　宗治はその美貌から、非常にもてる。自分に好意があると感じた女は片っ端から手を出す。しかしそれは愛情からなどではない。ただ自分の心を傷を埋めるためだけでしかない。肉体関係を持った後、女が本気になっても、いつものクールさであしらうのみ。宗治にとって、女との行為は儀式にすぎないのだ。

　宗治は心の傷から性行為の最中、既視感があるとすぐに過去のトラウマがフラッシュバックされる。その中に浮かぶ謎の美女の存在に毎度苦しむ。彼女は一体誰なのか。トラウマが蘇るたびに、宗治は冷徹になっていく。宗治は心の傷を癒すために性行為をするしかないのだが、かえってトラウマが蘇らせるという悪循環に陥っているわけだ。

　実を言うと宗治は、過去に両親から性的虐待を受けていた。ゆえに、性行為自体がトラウマのトリガーとなっていたのだ。しかしその心の傷は性行為で上書きするしかない。もちろん義妹の明日香もそうだ。ふたりして負った心の傷はあまりにも深いのだ。

　やがて宗治の心の傷に気が付き、それを受け入れる存在が現れる。そこではじめて得られる心の安寧。だがそれもすぐに崩れる。そして宗治と明日香の精神はさらに壊れていく。

　心に傷を与えた両親はどこにいるのか、フラッシュバックに蘇る美女の存在は一体誰なのか。ふたりは救われるのか。全2巻のなかにコンパクトにまとまって、アニメ作品としても十分に楽しめるものとなっている。衝撃のラストまでの演出もなかなかに巧みだ。

　ちなみに、エロゲー原作を未プレイの方はFANZAで安くダウンロードできる。こちらも合わせてオススメする。
(文=穴リスト猫)

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●『コ・コ・ロ… 1』
●『コ・コ・ロ… 2』