『魔女宅』キキはなぜ17歳のJKに?カップヌードルが青春アニメCMを作る理由とは

1708_cuo04.jpgこのシーンはどうやって撮影したんだろう…

――作業が丁寧ですね。

岡崎 普段は実写の仕事をされているスタッフさんも多かったので、最初のビデオコンテは実写で制作しました。ワンカットずつ撮影し、役者さんたちに演出コンテどおりにお芝居をしてもらった動画をもとに、演技やレイアウトを練り直して、そこから原画に起こしていくという、アニメ制作としては少し変わった手法をとっているんです。

――だから構図やアングルが実写っぽいんですね。現実感があるCMにしたい、という狙いがあったんですか?

岡崎 何よりも、30秒という短い尺でも、しっかりとしたクオリティーのものを作ろうというのが第一でした。それに最近の傾向として、リアリティのある作品が人気を集めていることもあり、そうしたものと遜色がない、あるいは上回るようなCMにしたいという思いから、背景の描き込みが多いリアル寄りの作品に仕上がりました。それに、窪之内先生のキャラクターデザインも大きく影響していると思います。

――なるほど。ただその方向性は、アニメらしい躍動感があったジブリ版『魔女宅』からはかなりかけ離れますよね。デザインや舞台もまったく変えられていますが、制作前にジブリ版『魔女宅』から遠くなることに不安や葛藤はありませんでしたか?

岡崎 アニメとも原作ともまったく違う世界観で描くという、このCMの企画そのものがかなりのチャレンジなんです。原作のファン、ジブリ作品のファンの方々には、それぞれ強い思い入れがあるでしょうし、ギャップを感じる部分もあるとは思います。しかし、そこを超えて、多くの人に楽しんでいただけるCMを作りたい、というのが当初からの思いでした。原作にはない新たなストーリーを描くことを、原作者の角野先生に面白いと感じていただけたことで、現場のモチベーションはとても上がりました。窪之内さんのキャラクターについても、すごく可愛くて素敵ねと角野先生は仰っていました。

――躊躇するくらいならそもそも最初から立案してないという。

岡崎 携わっている人間みんながチャレンジであることを理解した上でスタートした企画ですから、制作中に「これ、ヤバイのでは?」となることはありませんでした。むしろ、窪之内さんの絵を動かすことの方がチャレンジというか、一番苦労したポイントかもしれません(笑)。

「『FREEDOM』のことは、まったく意識しませんでした」

――カップヌードルのアニメCMというと、大友克洋さんが関わった『FREEDOM』を連想するアニメファンもいると思います。『FREEDOM』はCM放送後、OVA発売、小説も発行と幅広く展開しましたが、今回の『HUNGRY DAYS』はいかがでしょうか?

1708_cupposter.jpg上が公開前、下が動画公開後のポスター

岡崎 もったいないとよく言われるんですが、『魔女の宅急便』は今回のCMだけで終わりになります。「HUNGRY DAYS」シリーズのコンセプトや『アオハルかよ。』というコピーは変わりませんが、第2弾以降は別の国民的なコンテンツをモチーフにして、誰も見たことのない青春を描いていく予定です。なので、『FREEDOM』のように一つの壮大な長編アニメを作るといったことは予定していないんです。

 もちろん、私自身にとっても『FREEDOM』は印象の強いCMなのですが、今回の企画で『FREEDOM』を意識した部分があるかと言われると、まったくありませんでした。しいて言うなら、プロモーションの一つとしてOOH(屋外広告)を展開したのですが、最初は手描きスケッチのような線画のシンプルなデザインのものを掲出し、6月18日のCMオンエア開始に合わせて、完成されたビジュアルと入れ替えるということをやりました。実は、『FREEDOM』の時も同じことをやっていたのが記憶に残っていて、そのアイデアを拝借した形です(笑)。

――アニメやマンガならではの手法ですよね。今後はどれぐらいのペース感で新作を発表されるんですか?

岡崎 次のCMは秋を予定しています。内容については、まだ詳細をお教えすることができません。でも、今回と同じようにおなじみのコンテンツがモチーフになります。皆さんが知っているお話しで、なおかつ、青春時代を過ごす主人公たちの姿が描かれてこなかった作品です。

――クリエーターの方も変わっていくんですか。

岡崎 主要クリエーター陣は一緒です。キャラクターデザインも、窪之内先生に引き続きお願いしています。

――カップヌードルのCMは、一般層からの注目度が高いですが、『HUNGRY DAYS』シリーズにはアニメファンも注目していると思います。メッセージなどいただけますか?

岡崎 日清食品のCMやプロモーションなどに触れたお客さまが、「日清がまた変なことをやってるよ」と楽しんでもらえることが何よりも嬉しいですね。馬鹿なことをやってるように見えますが、どうやったら皆さんに面白いと思ってもらえるか、どうすれば皆さんに話題にしてもらえるかを、毎日突き詰めて考えています。

『HUNGRY DAYS』シリーズは、今後も第二弾、第三弾を公開していく予定ですが、どのCMもディテールにとことんこだわり、細かいネタを入れ込んだりしていきますので、そうしたところも是非楽しんいただければと思います。
(取材・構成=編集部)

●カップヌードル『HUNGRY DAYS』公式サイト
http://www.cupnoodle.jp/hungrydays/majyotaku/

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