物事のウマい、ヘタを研究する「ヘタの研究」第二回

中居正広は歌がヘタなのか? その検証と、誰でも得点を出しやすい歌をプロに聞く!【中編】

2017.07.28

「歌ベタ」を個性にしている中居正広の歌唱力は、プロから見てどうなのか? 物事のウマい、ヘタを研究する「ヘタの研究」。前回に引き続き「歌がウマい、ヘタとはどういうことか」を、ボイストレーナー、ソプラノ歌手であり『LIVEDAM精密採点DX徹底攻略!!ボイストレーナーとカラオケチャンピオンが教える カラオケ上達最強テクニック これであなたも10点UP!!』(コスミック出版)著者・菅原久美子氏に話を伺った。カラオケのキーを半音上げたり下げたりでパニックになる人への攻略法も聞いている。読めばすぐにカラオケに行きたくなるはずだ。

■中居正広は歌がヘタなのか?

――歌がヘタな有名人となると、中居正広さんが本人も周囲もそれをネタにしている節はありますよね。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』のCMでは、調子が外れた歌を生き生きと披露していました。

菅原久美子氏(以下菅原) 中居さんは歌がヘタと言われていますが、私はウマいと思います。というのも、まず中居さんは2015年に喉の腫瘍摘出の手術をされていますよね。長らく違和感はあったと思うんです。

 生放送で中居さんが歌うのを聞きましたが、お上手でした。歌がヘタだと言われているのは、喉の違和感がある中で歌おうとしたのを、「歌がヘタ」というブランディングと合わせて行われたのかなという印象です。音楽の仕事をしている別の知人も「ウマい」と言っていました。体の不調を「歌がヘタ」というブランディングに変え、“アイドル”という仕事につなげられたことは素晴らしいと思います。

――中居さんのような「ヘタも愛嬌にする」タイプと違い、カラオケでそれまで盛り上がっていた場を一気に静かにさせる凄腕のヘタもたまに見かけますが、こういった「つまらなさ」は何によってもたらされるのでしょうか?

菅原 ヘタでも、場を沸かす人はいますよね。ですので、歌のウマいヘタでなく、本人が楽しく歌っているかだと思います。「嫌だな」と思いながら歌えば声も消極的になり、音も外れ、遅れがちになり、ますますヘタになる。そして聞いている人も「かわいそう」と思ってしまうんですね。

――自分が歌っていて、聞いている人に「かわいそう」と思われたらつらいですね。

菅原 ジャイアンみたいに自信満々に歌えば、楽しいと思う人はいると思うんですね。「順番が来たから、仕方なくいやいや歌う」という消極性では周囲の空気も冷えてしまいます。

――仕方なく歌うくらいなら歌わなかったり、そもそもカラオケに行かない勇気も大切ですね。

■カラオケで高得点を出しやすいとっておきの3曲

――採点において、どういった曲が得点を出しやすいのでしょうか?

菅原 バラードが出しやすいです。速い曲は言葉が多く、やらなければいけないこと、こなさないといけないことも増えます。遅い曲だと、歌いながら次の音程を考えることもできますし。

――ちょっと意外ですね。バラードだと「しっかり歌わないといけない」から難易度が高いのかと思っていました。

菅原 そう思ってしまいがちですが、バラードのほうがやることは少ないので、得点を出しやすいんですよ。おすすめは、男性ボーカルならスキマスイッチの「奏(かなで)」。女性ボーカルなら一青窈さんの「ハナミズキ」も鉄板ですが、中島みゆきさんの「糸」もいいですね。いま挙げた3曲は、カラオケの年間ランキングで上位に入る曲でもあります。

――年間ランキング上位ということは、これらの歌だと高得点が取れる! と気づいている人が多いんでしょうかね。

菅原 それもあると思いますが、どんな年代の方が目の前にいても受け入れられやすい楽曲自体の魅力もあると思いますね。

――確かに、自分以外は同席者のだれも知らないような、攻めたオタクソングは会社の飲み会だと歌いにくいですね。

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング