スギナミキインタビュー後編!

Innocent Grey『FLOWERS冬篇』はまさかのノンプロモーション? その真意と美少女ゲーム業界の動向を探る

スギ:最近は、ゲームにしてもアニメにしても、様々なエンターテインメントにおいて事前に情報を出し過ぎる傾向が強いと感じております。本当にそこまで公開してしまう必要性ってあるのか、と。そういう意味では情報の発信源と受信する側のバランスがとても大切だと感じています。

 『FLOWERS』に関していえば、秋篇までプレイしていただいた段階で全てのプロモーションは完了しております。だから、ここまで追いかけてくれたファンの皆さんには、余計な知識は持たず、純粋な気持ちで最終季を迎えていただきたいのです。だからノンプロモーションにしようと考えたのです。

 それとそこまで話を聞いて「おや?」と思われるかもしれませんが、公開が迫っているOPムービーについても少しだけお話をします。詳しく話してしまうと興ざめになってしまいますので言葉を選んで云わせて頂くと、自分自身でも今までにない“挑戦的なもの”になっております。自分の考えるある意味、理想的な表現ができたと思いますので楽しみにしていただきたいです。協力していただいたムービー制作の癸氏(※癸乙夜氏)にも感謝したいです。

――なるほど。では話を変えましょう。ここ最近の美少女ゲーム業界の状況はいかがでしょうか。3年前とさほど変わりませんか。

スギ:もう何年も業界が傾いているとささやかれてきましたが、今年になって仲の良かったメーカーがいくつか撤退したりして、私自身も相当の危機感を覚えています。もう他人事ではすまされない状況です。

 業界を見渡しても、売上がかなり落ちています。1万本を超える作品なんてほぼないんじゃないでしょうか。

 それに地方に巡業に行くと、お店によっては売り場の1割が新品、残りの9割が中古だったりするのです。その状況を目の当たりにすると、業界全体が中古じゃないと回らなくなってしまっていると強く感じます。

――美少女ゲーム業界の功罪として、よく特典商法があげられますが、御社はやらないですよね。

スギ:前回のインタビューでも少しお話したかもしれませんが、弊社は『殻ノ少女』のときにやめました。もう10年くらい前の話ですね。その当時はかなり勇気のいる決断でした。でも、特典を付けなくても売れる本数に大きな変化はなかったのです。ブランドとして、早いうちに特典商法に頼らないシステムを作れたのは成功でした。

 その分、作品の内容や、パッケージの装丁などは自分たちは勿論、ユーザーの皆様にも納得して頂ける商品を提供しなければなりません。これは非常にプレッシャーでしたが、ブランドとして生き残るためにも必要なプロセスでした。

――改めてお聞きしますが、特典を付けないことでどんなメリットが生まれましたか。

スギ:特典がなく、パッケージ自体に付加価値を付けることでゲームを中古に出回る数を抑えることができます。中古が出ても数が少ないので価格は基本的に下がりません。そうなると、新品を購入してくれる率が高まりますし、発売の金土日に勝負をかける必要もありません。いつ買ってもいいので、継続的に数字が動くことにつながります。

――最近では日本市場があまりにも厳しいので、海外市場を開拓しているブランドも多いですよね。『FLOWERS』も海外でダウンロード購入できるかと思うのですが、反応はいかがでしょうか。

スギ:『FLOWERS』に関して言えば、予想以上の反響があったとのことです。海外でも「レズ」とは異なるものとして「百合」というジャンルが認識されつつあるようで、まだ春篇のみのリリースですが、夏篇以降も展開していきます。

――海外には美少女ゲームの市場があるとお考えですか。

スギ:そうですね。現時点では「ある」と考えています。特にアジア圏では勢いを感じております。ここ数年でイベントに参加される海外のファンが増えました。中国や台湾などが多く、ほかにもオーストラリアなどからも来ていただいております。皆さん本当に百合が大好きなようで、これは本当に嬉しいことです。

――では最後に、冬篇リリース後の予定をお聞かせください。

スギ:まずは『天ノ少女』の制作を急ピッチで進めることです。個人的にも思いれの強い作品ですし、一日でも早くファンの皆さんのもとへお届けしたいと思っています。

 それと、いつか『殻ノ少女HD』のフルボイス版をリリースしたいと考えています。もちろん『天ノ少女』の開発が最優先になりますが。

――『殻ノ少女HD』フルボイス版ですか。まだ先のお話になりそうですが、楽しみですね。

スギ: 弊社は、少人数の開発体制です。コストを考えたら、大きなメーカーでは考えられない体制でしょう。だからとにかく時間がかかってしまいます。しかし、小さい体制だからこそ作品にこだわりをぶつけることもできるのです。

 最初に申し上げた通り、『殻ノ少女』シリーズを待ってくれている皆さんには、待たせてばかりで申し訳ありません。絶対に良いものにするので、もうしばらくお待ちいただければと思います。

 そして冬篇を待って下さっているファンの方々も絶対に後悔させませんので最後の季節までしっかりと追いかけてくださることを切に願います。
(文/構成=Leoneko)

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