スギナミキインタビュー後編!

Innocent Grey『FLOWERS冬篇』はまさかのノンプロモーション? その真意と美少女ゲーム業界の動向を探る

 『殻ノ少女』シリーズなど、昭和を舞台にした猟奇ミステリー作品で圧倒的人気を誇り、美少女ゲーム業界で孤高のブランドとして君臨しているInnocent Grey。そのInnocent Greyが放った『FLOWERS』シリーズは、まさかの全年齢、かつジャンルは百合というそれまでの歴史を覆すものだった。第一作目の『FLOWERS春篇』(以下、春篇)のリリースから丸3年が経ち、いよいよ2017年9月15日の冬篇をもって完結する。

 インタビュー前編では『FLOWERS』の過去作をスギナミキ氏(※杉菜水姫氏の『FLOWERS』における名義)に振り返ってもらい、またビジネス面についてのお話も聞かせてもらった。後編では、『FLOWERS 冬篇』と、近年の美少女ゲーム業界の状況、そして今後のInnocent Greyについて語ってもらった。

前回の続きより

――そろそろ冬篇のお話を聞かせてもらえればと思うのですが、公式でも発表されている通り、夏・秋と登場しなかった匂坂マユリ(以下、マユリ)は登場するということでいいのですね。

スギナミキ(以下、スギ):まちがいありません。100%登場します。これは各方面で言っておりますが、中々信じてもらえません(笑) 今までの“業”のせいでしょうか。

 でも冬篇で登場しないのはそれこそ春篇のあのエンディングが無意味になってしまいますので信じていただくしかありません。もちろん手足もありますし、精神異常とかもありませんのでご安心ください。

――春篇のエンディングへの反響を受けて、マユリを夏・秋と登場させようとは考えたことはなかったのですか。

スギ:ありません。ただ、最初にもお話ししたように冬篇を迎えるまでに、ここまで時間がかかることを想定していなかったので、マユリの声を担当していただいた岡本理絵さんにはずいぶんと待たせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。ご本人もここまで待つことになるとは思わなかったとおっしゃられていました。

 でも長い間、待っていただいた分、冬篇ではその想いが重なったすばらしい演技を見せてくれています。その演技を目の当たりにしたとき、夏・秋と中途半端に登場させなくて正解だったと改めて感じました。

――ずばり冬篇の見どころはどこでしょうか。

スギ:蘇芳とマユリの再会につきるのではないでしょうか。どうやってふたりが再会し、ふたりの関係がどうなるのか、私自身かなり納得のいく展開を用意することができましたが、見どころというよりもここが冬篇での一番の課題でした。

 最初に考えていたのは物語の後半にだけ登場するという展開でしたが、これだけだとただの感動系の佳いお話になってしまうと思いました。長期間待たせてしまった岡本さんにも申し訳ないですし、プロット自体を見直すことにしたのです。苦労の甲斐あってある程度、序盤から登場させつつも、とても切ない再会という理想的な状況を作り出すことができました。ここでの名塚さん(※白羽蘇芳役・名塚佳織氏)と岡本さんの演技は必聴です。

――春から秋にかけて全てをプレイしてきたユーザーにとっては最も気になるところでしょうね。夏と秋ではEXTRAシナリオで蘇芳の苦しみを知っているわけですし。ほとんどのユーザーが蘇芳とマユリが結ばれてハッピーエンドのような流れを望んでいますよ。

スギ:……そうでしょうね。分かります。

――ちがうのですか? まさか、イノグレらしく誰か死んだりするとか。

スギ:以前のインタビューでもお話したかもしれませんが、メインキャラクターは誰も死にません。

 ラストは最高の幸せを用意しています。冬篇のメインキャスト3人にも、「あの終わりで良かった」「あの終わりしかない」と納得していただけています。私なりのハッピーエンドと言えばいいのでしょうかね。少なくともメインキャスト3名のお墨付きですから、酷いことになってないことは確かです(笑)

――私なりの~というのがかなりひっかかります。御社のことだから、どんなことが起こるか、最後まで油断できませんから。

スギ:これ以上は言えません。実は、そもそも冬篇についての情報は、ほぼ流さないことになっているのです。なので、いまここで話す以上の情報は、今後一切流しません。

――えっ、どういうことですか。公式サイトでまだ更新されていないページも多いですよね。

スギ:グラフィックのページとかですね。あれは、更新がされていないのではなく、現時点で完成しているので、そもそもアクセスできません。更新されるとしたら発売以降になるでしょう。

 CG1枚から想像できてしまうことって、とても多いじゃないですか。だから今回は敢えて見てほしくないのです。できる限りまっさらな状態でユーザーの皆さんには冬篇を楽しんでいただきたいのです。ただ、全く出していないというわけではなく、CMムービーやパンフレットでは一部の当たり障りのない素材は使用しています。

――キャラクター紹介ページで八代譲葉と小御門ネリネが白黒になっているのもそのせいですか。

スギ:彼女たちが色を失っているのは、秋篇のエンディングを踏まえているからです。

――では彼女たちは冬篇には登場しないと。

スギ:そこは明言できません。そういった部分も含めて冬篇では本筋の展開がわかるような情報は出さないように気をつけています。うっかりしているとしゃべってしまいそうになりますが(笑)

――CGまでも公開しないとは、かなり挑戦的なプロモーションですね。

スギ:挑戦的なプロモーションというより、ほとんどノンプロモーションになります。だから全国キャラバンのトークショーでも、冬篇については話せることがなくて大変でした。幸いゲストがいる会場ではゲストに特化した話題などで十分に盛り上げることができたのでとても助かりました。

――なぜそうしようと考えたのですか。

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