消え行く昭和のエロに思いを馳せて…『あの日のエロ本自販機探訪記』著者インタビュー

■「残る150カ所を見つけられるだけ見つけて、がんばって回っていこうかな」

――「いずれなくなるだろう」とセンチメンタルに触れられていましたが、改めて、今、エロ本自販機を追うことに、どんなロマンを感じられましたか?

黒沢 担当編集さんには「(エロ自販機を追うことは)黒沢さん自身の青春時代を追いかけているってことなんじゃないですか」と言われて初めて、ああ、そうかもしれないなと思いましたね。

 自分が大学生のころは、自販機もいっぱいあって、夜中にドキドキしながら買いに行ったりしていたんですよ。その後、ライターとして自販機エロ本の原稿を書くようになって、その本が自販機の中に入っているのを見ると、自分の妄想が自販機に閉じ込められているような感覚を覚えたんです。すごくエロ本が艶かしく見えたりして(笑)。

 ところが、その後あっという間に自販機の数は減り、自分の意識からも一度は消えました。それが「あ、まだあるんだ」となったときに、写真を撮っておこうと思ったというのは、やはり「今はまだあるけど、急がないとなくなってしまうかもしれない」という焦りもあったんだと思います。

――「この間まではあったのに、いつの間にか更地になっている」というケースがあるわけですものね。

黒沢 そうなんですよ。実際、本の執筆中に消滅した自販機も結構ありました。今後どんなに時代が変わっても、これから増えるということはもうないでしょうからね……。

「ギリギリ間に合う、最後のタイミングだったのではないか」と担当編集さんとも話したことがありました。同じことを3年後にやったら全然違う結果になっていたと思いますね、自販機の台数も、取材に応じてくれた業者の方たちも、状況はよりネガティブになっていたと思います。今このタイミングで、ギリギリ間に合ったというか。

 SNSやストリートビューなど、見つけるためのツールは進化する一方で、自販機はどんどん減っていく。ITの進化の傾斜線と、自販機のどんどん降下していく傾斜線とが、ちょうどいい具合に交差するタイミングだったのかなと考えています。

―― 自販機どころか、紙の成人向け雑誌も大分減っていますものね。今後の野望などはありますか?

黒沢 まぁ、見つけたスポットは取材に行かなくてはいけませんからね。その結果もどこかで発表できればと思います。掲載するとしたら自分のブログでしょうか、さすがにもう一冊分構成するほどの量はないでしょうから。

 この本に掲載したのが約350カ所、その後発見したのが50カ所。僕がまだ見つけられていない分をあわせても、現在、日本全国で多分500カ所弱ぐらいしかエロ本自販機はないんじゃないかな。だから、あと残る150カ所を見つけられるだけ見つけて、がんばって回っていこうかなと思います。
(取材・構成=編集部)

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』
出版社:双葉社
発売日:2017年4月21日
定価:本体2,200円+税

『あの日のエロ本自販機探訪記』発売記念 
誰も知らないエロ本自販機とエロ本小屋の話をしよう

7月8日開催!
Loft PlusOne West 大阪府大阪市中央区宗右衛門町2-3 美松ビル3F
OPEN 12:00/START 13:00
前売り ¥1,800/当日 ¥2,300
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/67419

消え行く昭和のエロに思いを馳せて…『あの日のエロ本自販機探訪記』著者インタビューのページです。おたぽるは、書籍ホビーの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!