消え行く昭和のエロに思いを馳せて…『あの日のエロ本自販機探訪記』著者インタビュー

――仕事として始められてから、発行までに2年ちょっとかかったわけですね。

黒沢 これでも仕事になってからは、作業は加速したんですよ。趣味のときはゆるゆるとやっていたんですけど、やっぱ締め切りがあると、人間がんばるじゃないですか(笑)。

 それでも日本中まわらなきゃいけませんし、それにですね、あとからあとから情報が出てくるんですよ! 遠方に行くときは、念入りにしらみつぶしに、情報を事前に調べるんですが、もうこれで見落としはないはず! と思って行っても帰ってくると、土地勘ができたからか、新しい自販機を見つけてしまうんです(笑)。大阪・新潟・山形といったあたりは2度3度、足を運びましたね。取材を終えて執筆作業をしている間にも次々に見つかってしまったんですが。

zihanki03.jpg同じくGoogleマップ。日本にはまだこんなにあるんです

――結局、全部で何カ所ぐらい掲載されているんですか?

黒沢 大体350カ所ぐらいですね。450弱ぐらいは実際に現地へ行っているんですが、行ったらなくなっていた、廃墟になっていたという場所も多かったです。一方でまだまだ発見できていないところもあると思います。

 やっぱり、情報を見かけてしまったものは行かないと……(書籍発行後の)今でもGoogleマップのピンは増え続けています。北信越にはまだ未調査分が結構残っていますからね。新潟だけでもこれだけあるんですよ(ウキウキでノートPCの画面を指差しながら)。これはまた行かなきゃと思っているんです。

■インタビューのアポ取りは執念の電話攻勢で

――自販機本の規制の歴史など、関連情報の収集もかなり時間がかかったのではないですか?

黒沢 そうですね。でも本を出すと決まってからは、もう一度しっかり洗いなおさなければ、と。あわせて、担当編集さんと本を出すなら業者さんに取材をしたいという話になりまして。

 あまり詳しくはお話できないんですが、ぼくがある場所から連絡先を入手してきたところ、担当編集さんがそこにしつこく連絡を入れ続けてくれましてね。毎日一回ずつ何カ月間も(笑)。

 そうしたらある日、「黒沢さん! 返事がきましたよ!」「マジですか!」と。そこから事情を説明して交渉して取材をお願いして――最初は警戒されましたけどね、自販機業者にとってメディアに出ることは、(当局に)目をつけられやすくなるんじゃないかとか、マイナスなことのほうが多いらしくて。でもマメに連絡し続けることで、次第に信頼してもらえるようになって、「いいですよ、お話しましょう」となったんです。

――どうしても怖い人たちがやっているのでは、という先入観があるんですが。

黒沢 全然そういうことはなかったですよ……人によって、昔はやんちゃだったのかもしれないなと思える人もいましたけど(笑)。むしろ逆に怖い人たちに脅されたりしたことが過去にはあったみたいですね。

――全部で3組、業者の方へのインタビューが掲載されていますが、お会いしてみてどうでした?

黒沢 実際会って顔がわかると、印象が変わってきますね。どういう方がやっているか、どういう思いでやっているのかがわかってくると、「ああがんばっているな」と思えてきたり、最初に行ったときはなかったポスターなんかが貼ってあって「おお」と思ったり。

――やはりマメに管理されているところと、そうでもないところとで、かなり差があるものですか?

黒沢 ええ、それはもちろん。ゴミの片付けひとつとっても、綺麗なところ、汚いところがありますし、販売しているグッズも差があります。また、ずっと行っているとお客さんの顔も見えてくるんですよ。極稀にお客さんとすれ違ったり、買い物をした痕跡が残っていたりすると、色んな人が来ているなと実感したりもして。

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