【モノブライト出口博之の特撮自由帳(11)】

大槻ケンヂ×モノブライト・出口博之、世界進出を目指して(!?)改めて“特撮”を語る!

大槻 おお、それはいい話。それがまた日活撮影所へ生まれ変わったとしても、予算がないからね! そこ重要だよ(笑)。

出口 そういうこと、あまり信じたり考えたりするほうじゃないですけど、そうとしか思えないよな、という瞬間がたまにあって。音楽でもそうじゃないですか。

 何で俺、日本人なのに海外のマイナーなバンドが好きなんだろう、自分の気持ちにピタッとはまるんだろうと不思議に思えるときがあって。幾分か、あっちの人の魂みたいなものが、自分の心の中にあるんだろうな、って考えたりするんですよ。

大槻 面白い考え方だね。夢半ばでなくなったアーティストの魂を受け継いでいるみたいな?

出口 そうです、何%かはわからないですけど、ヒュッと入ってきているんじゃないかな、みたいな。だから海外の特撮好きもそうなんじゃないかなと(笑)。そういう日本の特撮やアニメが好きという濃度が高い人が、面白いものを作っているんだろうなと。

1707_deguchi06.jpg映画『キングコング:髑髏島の巨神』公式サイトより

大槻 それでいうと、新しいキングコング(『キングコング:髑髏島の巨神』)はもう見た?

出口 見ました見ました!

大槻 すごいよね、あれは『特撮アベンジャーズ』をやろうとしているわけでしょ? しかも日本の怪獣まで引き込んで。

出口 キングギドラもいましたからね!

大槻 ギャレゴジ(『GODZILLA ゴジラ』14年)も、同じ会社なんだよね?

出口 そうですね、同じ世界で括ろうとしているみたいで。

大槻 すごいよなと思うのが、ちょっと昔はしょせん子ども向けとか、亜流と思われていたものが、アニメもそうだけど、どんどん主流になってきている。映像技術が追いついてきた、ってことでもあると思うんだけど。

 ただね、非常にキングコングも面白かったし、怪獣アベンジャーズもぜひ思いっきりやってほしいんだけど、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、作中で70~80年代のいい音楽がどんどんどん流れてきて。

出口 ベストヒットソング集ですよね。

大槻 きっと音楽だけでもすごい金を使っているんだと思うんですよ。それは重要だと思うけど、オール怪獣総進撃をさ、何百億円もかけられたとしたら、出来はともかく、わっとなるでしょ? 音楽もそうで、映画の出来はともかく、かつての名曲が何曲もかかってくるとそれだけでおじさんはそれだけで感動しちゃう。すると、「金があれば、何でもできるのか!」となってしまうという。

出口 だははは!

大槻 金がない日本映画も頑張れ! と思うわけですよ。

出口 そこなんですよね! 特撮に限らずだと思うんですけど、円谷(英二)監督の特撮がなんですごいのかと考えると、円谷監督は戦後、公職追放にあったりで、資材も資金もないけど、それでももう一度映像を作りたいというところから、ミニチュアを使って映画を撮りだしたわけじゃないですか。そういった創意工夫みたいなものから出来たのが特撮だと思うと、莫大な予算を組んで、ただCGで見せるというのは、特撮の心がないよなーと。

大槻 そうそう、CGでできちゃうから、特撮に対する驚きがなくなってしまって。元々特撮とアニメだったら完全に特撮派だったの、アニメだったら何でも描けるじゃん! と、本当はいろいろと大変なんだけど、そう思ってたの。でもCGになってからは、「CGだったら何でもきるじゃん!」と思うようになってしまって。すごいシーンを見ても、なんとも思わなくなっちゃった。それが悲しい。

出口 それはありますよね、そういう話になってくると、CG派か着ぐるみ原理主義か、みたいな話になってきて紛糾しがちですけど(笑)。自分個人としては、面白けりゃどっちでも、それは手段に過ぎないから、と思っています。CGも使い方次第で、結局使いどころが分かっている人、魂が近いクリエーターだと全然気にならないんですよね、『シン・ゴジラ』とか。

大槻 ああ、面白かったねぇ。

出口 あれなんかは、CGだよね? とか言われても、そんなの関係ないじゃん!というぐらい突き抜けて面白かったですよね。そういうことなんだろうなと思いますけど。

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