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【モノブライト出口博之の特撮自由帳(11)】

大槻ケンヂ×モノブライト・出口博之、世界進出を目指して(!?)改めて“特撮”を語る!

2017.07.03

出口 『帰ってきたウルトラマン』は当時の生活臭というか、当時の日本の空気が入っているというか、身近に感じられる要素が入っている気がしますよね。

大槻 そう! 『セブン』だけが特殊だったんだなと。

出口 ちょっと無国籍な感じもあったりして。

大槻 カメラワークも独特でね。それに『セブン』はほとんど変身しないで終わるときもあるでしょ。あれが、子どもながらに「すごい!」と。ただ予算がなかっただけもしれないけど(笑)。

出口 ダハハハ。

大槻 『帰ってきたウルトラマン』は始まったと思ったら、ザザーンとタッコングの2大怪獣が出てきたから、「おい安売りかよ。『セブン』は変身さえしなかったんだぞ」とダメ出しを始めたのを覚えていますよ(笑)。

出口 それはいやな少年ですね~

大槻 いやな少年だった(笑)。その後は僕の世代で言うと、『ミラーマン』(71~72年)、『ジャンボーグA』(73年)……

出口 あとは『ファイヤーマン』(73年)とか。

大槻 ああそう『ファイヤーマン』、それに『シルバー仮面』(71~72年)、『アイアンキング』(72~73年)、『緊急指令10-4・10-10』(72年)とか。色々あったし好きだったけど、衝撃的だったのは『人造人間キカイダー』(72~73年)。赤と青、半分が機械で半分は人間というヒーローが黄色いサイドカーに乗ってやってくるという(笑)。
 僕はよく言うんだけど、あれが僕らが生まれて初めて見る前衛芸術だったのかもしれない、あのサイドカーも含めて。岡本太郎的な衝撃でしたよ。

出口 ビジュアルなインパクトが(笑)。

大槻 うん。「前衛芸術というもの、アヴァンギャルドというものを俺は今見ているんだ」って。町山(智浩)さんが「今にして思うと『ゴジラ対ヘドラ』が、自分にとって初めての前衛だった」というようなことを仰っていたんだけども、それが僕は『キカイダー』でしたね。

出口 そこで「格好いい!」という気持ちになったんです? 「何か知らんが、凄いぞこれは」という感じだったんですか?

大槻 後者かな。ライダーが出てきたときもそうだけど、理解の範疇を超えて、「何だこれは!?」という驚き。世代でいうと中1のときにYMOが出てきたわけだけど、それまでにテクノはあったけど、そこにポップを、というのはなかったわけでしょ? テクノポップというのはなかったわけだから。

出口 ああいうスタイルは、それまでになかったわけですものね。

大槻 だからあのときも「何なのこれは!?」となったし。多分、初めてビートルズは見た聴いた人の衝撃みたいなものを、『仮面ライダー』とか『キカイダー』を初めて見たときに感じたんだと思うけど。

出口 そういう気持ちって、今はなかなか味わえないですよね。でもそういう中で、前にもこの連載の中で書かせてもらったことがあるんですけど、『仮面ライダー』の異形性というか、“何だこれ”感って実はすごく正しい、プリミティブなものじゃないかと思っていて。

 昨今は、新しいライダーが出てくると必ず「何だこれ!」「ふざんけんな」みたいなバッシングというか、反発が大人のファンから出るような雰囲気があるじゃないですか。でもそれって大槻さんが仰ってくれたように「何だこれ!」につながるものですよね。

大槻 そうそう、その通り。最近のライダーでも、すごいのいるじゃない。さすがに「あれ、何だ?」「おおっ!」となったよ(『仮面ライダー エグゼイド』/放送中)。「頑張っているな」と思ったし、今の子どももきっと「何だ!?」と思いつつ、受け入れていくんだろうな。

出口 多分今の子どもたちの、彼らにとってのヒーローになっていくんでしょうね。だからやんや言っている大人は、「俺たちの知っているライダーじゃない」って言っているだけでしないんだなと思うんですよね(笑)。

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