イノグレインタビュー第2弾!

Innocent Grey『FLOWERS』完結!クオリティーに一切の妥協を許さないブランド姿勢…春篇~秋篇を振り返る スギナミキインタビュー前編

 『カルタグラ』、『殻ノ少女』そして『虚ノ少女』と昭和を舞台にした猟奇ミステリー作品で圧倒的人気を誇り、美少女ゲーム業界で孤高のブランドとして君臨しているInnocent Grey。そのInnocent Greyが放った『FLOWERS』シリーズは、まさかの全年齢、かつジャンルは百合というそれまでの歴史を覆すものだった。第一作目の『FLOWERS春篇』(以下、春篇)のリリースから丸3年が経ち、いよいよ2017年9月15日の冬篇をもって完結する。

 春篇が発売される前、おたぽるではInnocent Greyの代表人物であるスギナミキ氏にインタビューをしている。そのインタビューからも3年が経過し、全年齢版をリリースしたことでブランドとして見えてきたもの、または業界の状況を含め、様々な変化が起こっているはずだ。そして何より、完結篇にも関わらず、『FLOWERS冬篇』(以下、冬篇)の情報があまりにも少ないため、それらを確かめるべく、過去作品の振り返りも含め、再びスギナミキ氏(※杉菜水姫氏の『FLOWERS』における名義)に直撃インタビューを敢行した。

――前回のインタビューはまだ春篇が発売される前でしたね。今日は冬篇のことも含め、この3年間のことを色々と聞かせてください。

スギナミキ(以下、スギ):その前に謝らなければいけない事があります。

――謝らなければいけないこと……ですか。一体なんでしょう。

スギ:前回のインタビューで『殻ノ少女3』(※正式タイトルは『天ノ少女』(※読み:カラノショウジョ)。以下、天ノ少女)は、『殻ノ少女』と『虚ノ少女』ほどの期間は空けずにリリースすると申し上げたのですが、その約束が守れなかった事についてです。

――確かにそうおっしゃっていましたね。『殻ノ少女』が2008年で、『虚ノ少女』が2013年のリリースで、5年間の空白がありました。いまが2017年ですから、『虚ノ少女』からすでに4年が経ってしまったわけですね。冬篇のリリースがこれからなわけですから、さすがに『天ノ少女』を来年リリースできるような状態ではないのですか。

スギ:実は『天ノ少女』のシナリオはほぼ完成していて、かなり佳い(よい)ものに仕上がっています。あとは制作に入るだけなのですが、本格的な作業に入れるのが、どうしても冬篇のリリース後となってしまいます。

――そうなると、来年というわけにもいかなさそうですね。

スギ:殻シリーズはとにかく素材数が多いので、少なくとも2年……ないしは3年、ひょっとしたらそれ以上かかってしまうことも可能性としてはあります。

『FLOWERS』の裏で『天ノ少女』の開発は進行していたのですが、結果的にファンの皆さんにはお待たせしてしまっているので、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。

――Innocent Greyはこれまで発売延期など、遅延は発生したことないですよね。

スギ:ありません。だから公の場で発言したことが、初めて守れなかったことになります。

――それだけ『FLOWERS』の開発に時間がかかってしまったということでしょうか。

スギ:はい。本当のことを言うと、『FLOWERS』は当初、息抜きくらいの比較的軽い気持ちでスタートしていました。ところがいざ作ってみると、春篇、夏篇、そして秋篇とより良いものにしていこうとした結果、いつしか息抜きどころか、ライフワークとなる作品にまで成長してしまい、それだけ時間がかかってしまったのです。

――「より良いものにしていこう」というのはどのあたりでしょう。

スギ:分かりやすい部分でいえばCG全般です。先日、春篇から秋篇のCGデータを整理する機会があって、調べてみたのですが、春篇より夏篇、夏篇より秋篇のデータが増えているのです。差分込みにはなりますが、秋篇にまでなると、CGが20枚くらい春篇より増えています。また、立ち絵についても当初は構想になかった、四季に合わせて制服のデザインを変えたことも大きいです。

 結果として流用できる素材は減り、作業量は増えました。ただ、思っていた以上に季節による制服の違いというのは効果的でした。季節感は勿論ですが、舞台装置というか記号的なものとして区別が付きやすくなった事は大きいです。新しい季節を発表する度に制服のデザイン等も話題に出るのを見ると、ユーザーの皆様も楽しんでいる様子が伺えて嬉しくなります。

――開発費を考えると、20枚増えるというのはかなりのコストだと思われます。しかし、『FLOWERS』はずっとミドルプライスでリリースされていますよね。フルプライスに切り替えようとは考えなかったのですか。

スギ:ありません。全年齢作品ということもあり、購入層に若いユーザーが含まれています。なので、ミドルプライス以上の価格設定にすることは、ユーザーのためにならないと考え、価格を上げることは考えませんでした。

――となると、コストが増えていくことで、ビジネス的な面で苦しい思いもされたんじゃないですか。

スギ:それはおっしゃる通りです。開発費の回収という点では、『FLOWERS』 は完全に成功しているとは言えません。時代の流れというのもありますが、将来を見据えて、ゲーム以外の部分での利益を確立する事で開発費を補ってきました。コンサートや画展などが代表的な例です。

 これから先、ゲームブランドとして生き残るには単純にグッズ展開するのではなく、そういったブランド価値を高めるための芸術性の高いコンセプトを持つ展示会なりコンサートを定期的に開催して行く事が必要だと考えております。

――R-18の美少女ゲームブランドが全年齢に進出して失敗してしまった例はチラホラ聞くのですが、成功例というのはあまり聞きませんね。その要因は何と分析されていますか。

スギ:『FLOWERS』はシリーズものということもあり、新作が出る度に、旧作の数字までもが動いてくれたのです。それがビジネス的には良い流れを生み出してくれたのです。『FLOWERS』シリーズだけではなく、R-18の作品(『パラノイア』や『虚ノ少女』)のリピートも増えてくれた事は本当に嬉しかったです。『FLOWERS』から入って殻シリーズ等にも興味を持ってくださったという意見もかなりありました。

【一般作品】FLOWERS −Le volume sur printemps− (春篇)

【一般作品】FLOWERS −Le volume sur printemps− (春篇)

「レイニー止め」の斬れ味はんぱねぇっす!

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