『アリスと蔵六』最終回 少女が腹巻きで守られてるのはいい世界。神原作を神アニメ化、とにかく最高でした

■アリスは大人になっていく

『アリスと蔵六』最終回 少女が腹巻きで守られてるのはいい世界。神原作を神アニメ化、とにかく最高でしたの画像2『不思議の国のアリス』角川文庫

「赤ちゃんのくしゃみやグリフォンの甲高い声といったその他の不思議な音は(お姉さんにはわかっていました)、活気に満ちた農場にあふれるさまざまな音に変わってしまうのです」(『不思議の国のアリス』訳・河合祥一郎)

 ワンダーランドに作られたものは、蔵六との生活で紗名が関心を持ったもの。「第一話で食べたいと思っていたコンビニ弁当」「入浴剤がシュワシュワしているお風呂」「毎朝新聞を取りに行った郵便受け」「花を結ぶリボン」などなど。
 友達と遊ぶのも、ホットケーキを食べるのも、蔵六や視聴者側にとっては当たり前なことばかり。
 蔵六「ここがあの子にとって普通であって、外の世界が奇妙なんだろう」
 日常こそが、子どもである紗名にとっての「不思議の国」。毎日が新鮮な発見だ。きっと『不思議の国のアリス』のアリスも、当たり前のものにワクワクしていたのだろう。

「きっとまわりに今の自分のような小さな子どもたちを集めて、たくさん不思議なお話をしてやり、その子たちの目を輝かせて、わくわくさせるのではないでしょうか。ひょっとすると、ずっとむかしに自分が見たこの不思議の国の夢のお話もしてやるかもしれません。」

 エンディングで入る「カッコいいお姉さん」のモノローグは、『不思議の国のアリス』の最後で、アリスのお姉さんが語るセリフを改変したものだ。

『アリスと蔵六』最終回 少女が腹巻きで守られてるのはいい世界。神原作を神アニメ化、とにかく最高でしたの画像3原作5巻

 蔵六は「いただいたものは、お返ししなくちゃならんな」と持論を述べている。
 紗名が成長した時、きっとアリスのお姉さんのように、不思議の正体はわかっているだろう。
 その上で、今不思議だと感じていることを、子どもたちに伝える側になるはず。
 ……なんだけど「カッコいいお姉さん」がいる世界自体がどうにも怪しいので、ここは原作での描写待ち。

原作者今井哲也のツイート

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