『アリスと蔵六』最終回 少女が腹巻きで守られてるのはいい世界。神原作を神アニメ化、とにかく最高でした

――歩と羽鳥がどこに旅行に行きたいか、部屋で2人が赤面しながら話しているシーンに、自分が失っていた感情を見出してたまらない気持ちになったたまごまごの、『アリスと蔵六』(TOKYO MX)全話レビューもラストです。いい意味でモシャモシャした。*ここまでのレビュー

『アリスと蔵六』最終回 少女が腹巻きで守られてるのはいい世界。神原作を神アニメ化、とにかく最高でしたの画像1『アリスと蔵六』公式サイトより、先週(11話)はこんな話

12話「ただいま」迷子の子どもたちの、冒険のおわり

内藤「子どもが元気だったら、それはいい世界だよ」 
 原作・今井哲也、監督・桜美かつし、J.C.STAFF制作のアニメ。頑固爺さん蔵六(演:大塚明夫)の元にやってきた、妙な力を持つ少女・紗名(演:大和田仁美)を巡る物語。
 ワンダーランドに閉じ込められてしまった紗名と敷島羽鳥(演:内田秀)は、出口を探し始めた。今まで圏外だったスマホが、ウサギを通じて友人の美浦歩(演:高橋未奈美)とつながったことに気づく。あわてて電話で歩に事情を話した羽鳥は、「ウサギの穴を探してほしい」と伝える。
 助けに来た歩は、蔵六と早苗(演:豊崎愛生)と合流。ワンダーランドは一時的に膨張を始めるが、蔵六に叱られてその動きを止めた。
 帰ってきた羽鳥は、両親に自分の思いを伝えようと決意する。

■じいさんに叱ってもらえる幸せ

 ワンダーランドが致命的ないたずらをしようとした時、「いいかげんにしやがれ!」の説教一発でおさめてしまった。
 叱ってくれる大人がいるのが、どれだけ子どもにとって幸せなことか。
『魔法少女まどか☆マギカ』でさやかも、誰か大人が「男の数は35億」と叱ってくれたら、魔女にならなくて済んだのに。『新世紀エヴァンゲリオン』でアスカのママが「一番になることが重要ではない」と話してくれたら、生きやすかっただろうに。

 アニメでは、両親がビラを配りながら捜索願を出し、必死に探している様子が見られた。
 せめて母親が、羽鳥に対して叱るなりなんなりしていれば、彼女は「嫌われている」と苦しむ必要はなかったし、自分が魔女だと苦しまなくて済んだはずだ。圧倒的に会話が足りなかった。

 一方蔵六は、大事な時必ず紗名に、きちんと言葉で話す。
 もっともワンダーランド編では、蔵六はそんなに大したことはしていない。「自己」についての悩みを解決したのは、11話で描かれたように、紗名と羽鳥自身だ。
 一旦離れることが必要だった。紗名は蔵六に教わったことを自分なりに咀嚼し、他の人と話すことで「自分」を確認した。羽鳥も離れることで、親が自分を愛していることを知ることができた。

 エンディングで、紗名はランドセルをもらって、蔵六に飛びつく。
 学校へ行くことは、子どもが一時的に保護者の元を離れ、ちょっとずつ成長して帰ってくる行為だ。
 最終回のタイトルの「ただいま」は、ワンダーランドからの帰還だけじゃなく、もっと日常的な話なのだろう。

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