『月がきれい』11話 受験なのにデート、受験なのにキス! 壊れかけの理性に、夜食のおにぎりが優しい

■さりげなく見える結婚指輪

 Bパートは小太郎と茜のクリスマスデート。受験なのにデート!? プレゼントが手編みのマフラー!? 当たり前のようにキス!? 茜のキス待ち顔!? こういう甘やかなシークエンスをぶっこんでくるのが『月がきれい』が恋テロアニメたる所以。今週も憤死者の叫びがタイムラインに響き渡った。

 一足先に茜が高校に合格。塾で小太郎と一緒に喜ぶ千夏(演:村川絵梨)だが、最後に1カットだけ小太郎を見つめるショットをインサートしてきてドキッとする。千夏の性格の良さと哀しさが一瞬で伝わったシーンだった。

 結局、母親は小太郎の努力を汲み取って受験先の変更を認める。母親の気持ちの変化と息子に対する愛情を、まったくセリフなし、シーンの積み重ねだけで描いてみせた。目立たないが、平静を保っておろおろしない父親の態度も非常に立派だ。うるさくなりがちな母親の心情をしっかりと小太郎に伝えるが、押し付けがましくない。

「うるさく言うこともあるけど……ま、そういうことだから」

 うかつにいいことを言わせない柿原優子の脚本が光る。読みかけの小説を閉じたとき、父の指にある結婚指輪が見えるところもじわっと良い場面だった。口やかましい母と静かな父だが、しっかりと気持ちは通じ合っているし、お互いに信頼もある。そして旅立っていく子を見守る。そんな親に私はなりたい。

■「未来へ」旅立つ小太郎とそれを見守る両親

 クライマックスは母親が握った夜食のおにぎりを小太郎が食べるシーン。めちゃくちゃ地味だけど、これがめちゃくちゃ良い。原恵一監督のアニメ映画『カラフル』のクライマックスに、母親が主人公に鍋をよそうという非常に地味だけど胸に染みるシーンがあったことを思い出した。

 受験当日、まだ薄暗いうちから出かける息子を両親が早起きして世話をする。弁当を渡された小太郎の口から素直に「ありがとう」と感謝の言葉が出てきたとき、母親は一瞬驚くが、照れるように小太郎を送り出す。このあたりの呼吸の芝居も非常に『月がきれい』らしい。

 母の愛情と子どもの成長、旅立ちをテーマにした挿入歌のKiroro「未来へ」も実に合っていた。受験へと赴く小太郎が歩く姿を、父と母が見守る。歌詞は「未来へ向かって ゆっくりと歩いて行こう」だ。小太郎が進む先は、受験会場であり、彼自身の未来なのだ。両親は小太郎のことを頼もしく思いつつ、ほんの少し寂しさも感じていると思う。自分で未来を選んだ小太郎は、子どもから少しだけ大人になった。

 さて、泣いても笑っても来週が最終回。こうなったら思いっきりハッピーエンドが見たい! 
(文/大山くまお

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