投じた予算は3900万円超 下津井~『ひるね姫』の旅路で見た「聖地巡礼の魅力は作品よりも人」という事実

IMGP3129.jpg訪れた日は休日。児島駅を降りれば『ひるね姫』のポスターに期待が高まってくるのだが

 3月に公開された映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』(以下、『ひるね姫』)の紹介記事を読んだ時、ちょっと驚いた。いくつかのサイトでは、この作品が「岡山県倉敷市が舞台」と記されていたからだ。

 倉敷市といえば、白壁の街並みが残る美観地区で知られた街。でも、この映画の舞台として描かれたのは、そこではない。倉敷市の下津井なのだという。もとより岡山市出身の私は、少しばかり違和感を感じた。確かに、下津井は行政上は倉敷市の一地域ではある。けれども「倉敷市が舞台」という表現してしまうのは、どうも違うような気がしたのだ。

 この下津井という町は、戦後、下津井町が周囲の町村と合併して誕生した児島市を経て、1972年の合併で倉敷市となった地域。倉敷とはまったく別の町として栄えてきた地域であるからだ。もとより、児島のあたりには今も親類が多いのだが、古い人の中には、いまだに「競艇場もあるし、倉敷と合併せんでもよかった」という人もいる。

 ともあれ、瀬戸大橋を望む風光明媚な土地ながら、これまであまり知られてこなかった下津井の町が知られるまたとない機会であることは間違いない。映画の公開から2カ月あまりを経て、町はどのような賑わいを見せているのか。その様子を見たいという好奇心から、私は旅立った。

■まず、岡山駅のホームで迷う(地元なのに……)

IMGP3122.jpg8番線の隣は6番線。もはやオカシサに慣れてしまっているのか? そういや昔は西11番ホームとか、さらに意味不明なホームもあった

 正直、岡山市出身の私も下津井というところの記憶は曖昧だ。記憶に残るのは、宇野線の茶屋町駅でナローゲージの下津井電鉄に乗り換え、ガタゴトと揺られながらいくところ。その電車も瀬戸大橋開通後の1991年に廃止され、今はない。その後、廃線跡を利用した自転車道を走った記憶も曖昧だ。いまの鉄道の最寄り駅は、瀬戸大橋線の児島駅。日中は1時間に2本ある快速マリンライナーに乗れば、20分ほどで到着する。

 5月中旬の土曜日。新幹線を降りた乗客が四国や県内の各地へと向かう岡山駅は、賑わっていた。構内の土産物屋には「四国のお土産は当店で」という案内もある。四国からの帰り道、お土産の数を間違えて「しまった!」と思う人にとっては、またとない便利なスポットであろう。これも「金のなる木はまだ知らぬ」利にさとい岡山人の気質がなせるサービスというところだろう。

 そんな便利なスポットもある一方で、駅は観光客には、まったく優しくない。四国へと向かう快速マリンライナーのホームは6番線。ところが階段を降りると、まず見えてくるのが8番線。8番線の向かいが6番線で、さらに真っ直ぐ進むと5番線、Uターンすると7番線。ちゃんと表示を見れば理解できるが、いったいなんで、こんなホーム配置になってしまったのだろう。

 最近は、一部の路線が愛称に変更されたから、さらにややこしい。瀬戸内の島々へと渡る宇野港へと向かう宇野線が「宇野みなと線」になったのはまだわかる。これと同時に行われた愛称への変更で、吉備路を走る吉備線は「桃太郎線」と、呼ばれるようになった。沿線に桃太郎にちなむ名所があると、理由は明確なものの地元では「あんごうじゃ」と、とにかく不評だらけである。観光にも用いられるとはいえ、通勤通学の生活路線としての比重が高い路線。観光振興のためとするならば、少し先走りしすぎた感じは拭えない。

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