神回『アリスと蔵六』11話 ワンダーランドで少女は決意する。碇シンジも蔵六と出会っていたら幸せだった

──ハッピーエンド星人・早苗が、背中に傘背負って歩いている様子が、山下清にしか見えない。はーちゃんが白タイツ裸足で地べたを歩いているのがとてもツボなたまごまごが、『アリスと蔵六』(TOKYO MX)を全話レビューします。*ここまでのレビュー

神回『アリスと蔵六』11話 ワンダーランドで少女は決意する。碇シンジも蔵六と出会っていたら幸せだったの画像1先週(10話)はこんなお話『アリスと蔵六』公式サイトより

11話「女王と魔女」紗名の国の紗名

蔵六「後でこのワンダーランドとやらに説教してやらなくちゃならねぇ」原作:今井哲也、監督:桜美かつし、J.C.STAFF制作のアニメ。頑固爺さん蔵六(演:大塚明夫)の元にやってきた、妙な力を持つ少女・紗名(演:大和田仁美)を巡る物語。
 相手の想像力を奪うことのできる敷島羽鳥(演:内田秀)を、「ワンダーランド」に引き込んでこらしめようとした紗名。ところが2人はワンダーランドから出られなくなってしまい、たまたま見つけた屋敷にこもった。

 羽鳥は両親が不仲で、母親に嫌われたと感じ、ずっと苦しみ続けていたことを、紗名に打ち明ける。紗名は自分が「ワンダーランド」そのものかもしれないこと、自分は作り物かもしれないことなどを羽鳥に明かす。

 紗名と羽鳥を探しにきた蔵六と早苗(演:豊崎愛生)、情報調査室の一条雫(演:小清水亜美)は、管理施設からワンダーランドに向かう。物理法則にそぐわないめちゃくちゃな空間には、紗名が蔵六と出会ってからの記憶が、像となってたくさん並んでいた。

■紗名、自我が固まる

 原作のテーマはそのままに、全体を大幅にアレンジ。ワンダーランド描写はがっちり整理され、その仕組みがものすごくわかりやすくなった。
 蔵六たちのシーンは、序盤も含めほとんどオリジナルで追加。また今までの描写を、原作になかった形の伏線扱いで細かく回収している(ブタやチョコバーや花屋の2人の発言など)。見ていて、それだけで幸せになれるので、原作とぜひ比較してほしい。
 作者の今井哲也も「僕11話メッチャクチャ好きなんです、なので今日はもう感情がもたない 」とツイートしている。

 紗名は、ワンダーランドが人を模倣して作った通信機的存在で、彼女の感情も人間の真似らしい。
 今回の描写で、紗名の記憶とワンダーランドが、何らかの形でつながっているのが明確化された。
 一方で、紗名と全く関係なしに、ワンダーランドが学習したことを自律的に「練習」し、人間が住む世界のルールのしくみを真似ようともしているようだ。

 だったらワンダーランドが別の紗名を作ってもいいわけで、「樫村紗名」である必要がない。
「モシャモシャ」した感情は、ワンダーランドが真似たニセモノかもしれない。蔵六たちを好きだという思いも、まがい物でいらないものかもしれない。

 しかし紗名は、今回決意をしている。

「証拠なんてないんだ。でも、いるんだ私には。いるってことにしてるんだ」

 自己を形作るのは、他者ではない。紗名は紗名。「我思う故に我あり」だ。

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