『月がきれい』10話 仲違いから仲直りで激しいキス! 感情の高低差で耳キーンてなるわ

──深夜の恋テロアニメ『月がきれい』(TOKYO MXほか)。最新10話がこれまた殺傷力の高いエピソードだったが、すなわちそれは素晴らしいということ。地味アニメ好きのライター、大山くまおが全話レビュー中。フライングドッグ南健プロデューサーへのインタビューもあわせてどうぞ。*ここまでのレビュー

『月がきれい』10話 仲違いから仲直りで激しいキス! 感情の高低差で耳キーンてなるわの画像1『月がきれい』公式サイトより

■「川越まつり」は多すぎる人出に要注意

 部活も一段落ついた中3の秋。小太郎(演:千葉翔也)と茜(演:小原好美)たちは受験の態勢に入るが、10月にはずっと小太郎が練習を積んできたお囃子の本番「川越まつり」がある。茜は陸上部の仲間たちと出向くが……というのがAパート。

 何より膨大なカロリーが費やされたであろう「川越まつり」の作画が目をひく。山車の上で小太郎がお囃子を踊るシーンは、南プロデューサーが「本作制作にあたりやりたかったことの一つ」と明言するほど。8話の川越氷川神社「縁結び風鈴」に続いて、行ってみたいと思った視聴者も多かっただろう。

 9話は陸上大会での茜の活躍を小太郎がそっと見届けていたが、10話では逆に小太郎の活躍を茜が(こちらもそっと)見届けており、両エピソードは一対になっている。どちらも「そっと」というのが奥ゆかしい『月がきれい』らしい。何かに夢中になって打ち込んでいる人は、それだけで魅力的なのだ。

■比良、祭りの夜に死す

 Aパートの主役は、茜に好意を寄せ続けた陸上部のキャプテン、比良(演:田丸篤志)だ。9話では「俺は、まだ勝負すらしてないし」と言っていたが、10話ではついに茜に告白する。

「好きだった、ずっと……。一生懸命走っているところ、いつも見ていたから」

 告白されて、もじもじと川越銘菓「いも恋」の包み紙を弄っていた茜の指がぴくん、と跳ねる演出が細かい。こんな細かなカット、実写の映画やドラマではまず見ない。そして2人のことを遠くから見つめる小太郎のバックショット。声までは聞こえていないはずだが、なんだかヤバイ気しかしない。

「ごめん……あの、私、つきあってる」
「知ってる。けど……なんで、安曇……? 俺のほうが絶対水野のことをよく知ってる。ずっと、はじめから、ずっと一番好きだ!」

「なんで、安曇」って言っちゃった。恋に破れつつある者が、誰しも思う「なんで自分じゃなくてアイツなんだ」という疑問。でも、それを口に出してしまうと、相手の心はますます遠ざかる。

「ごめん、私、比良は友達だから。大事だけど、違う……」

 茜は視線をそらしたまま、きっぱりと拒絶する。比良、討ち死に。それでも、茜に微笑みを見せるところが、「周囲に自然に気を配ることができ、頼られがちな人格者」である所以だろう。しかし、人格者なのに「なんで」と口走ってしまうところが恋の魔力である。小太郎からLINEが入った瞬間、スマホを取り出して画面を見る茜の姿がさりげなくキツイ。比良にとって何よりの追い打ちだったはずだ。

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