……実を言うと今回、お恥ずかしい話ではあるが、私は今回、この映画自体をレビューできるほど内容のほとんどを把握しきれなかったのであった……。
とにもかくにも場内の乙女たち(一部は男)の熱気に圧倒されまくり、頭の中はまるで熱にうなされているような状態。
しかし、それは決して嫌な気分ではないという倒錯感!?
もっとも、そんな朦朧とした中でも、前作に比べて今回は作り手側がかなり意識的に薔薇的な要素を盛り込んでいるような作為を感じないではなかったのだが、観客の多くはその作為こそを求めて来ているわけだから、それは決して間違った行為ではない。
それにしても、もう不自然であろうがなかろうが、話の筋など二の次で、とにかく観客に受けてもらうためのサービスに怠りはなく、しかしながらやたらと男たちの裸体がエロく描かれたりするのを同性として目の当たりにしながら、男性をいわゆる“女性的”に可愛く擬人化させると、かくも女性客に受けるものかと不思議に思わざるを得ないところもあった。これを普通に女性キャラで描出させたら、今の時代バッシング必至であろう。
またクライマックスのプリズムショーにおける、もはやショーアップどころではないバトル的崩壊描写の数々からは、やはり男は美しく、かっこよく、おまけにヒロイックであり、勇者であらねばならないとでもいった、究極の理想の男性像が見事に描出されており、これこそ現実に存在するはずはなくても、アニメならばいともたやすく具現化できてしまう二次元世界イケメンの醍醐味なのだろう。
それにつけても、本来受動的に接するのが基本の映画を、ここまで能動的に楽しむ今の女性たちの貪欲なまでの姿勢に「は、どこかしら次代の希望を期待させるものがある。少なくともこういった熱気が続く限り、『キンプリ』シリーズも、アニメーションそのものも安泰ではあるだろう。
ただ、それにしても上映後はどっと疲れが出たものの、たまたまここ数日悪化していた持病の腰痛が、気がつくと収まっていた。
ありがとう『キンプラ』!
(文・増當竜也)
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