■怖いはーちゃん
「ワンダーランド」の階段を登っている時、羽鳥はすごく幼い顔で、楽しそうに笑っていた。ところが紗名が「悪いヤツ」と言った途端、拳を握りしめて心を固く閉ざした。
「悪いやつだなんてそんなの、今更だわ。あなたなんかに私の気持ちはわからない。偉そうなこと言わないで」
「私は分かってて悪い子になったのよ。あなたにどうにかできるの?」
「私に仕返ししたいんでしょう? だったら早くしたらいいじゃない」
開き直った彼女の語調は、ものすごく強い。この世界では万能だ、と信じている紗名を圧倒する。紗名は歩から「いい子」だと聞かされていただけに、モシャモシャが募る。
ここでの羽鳥のすごみは、自傷行為だ。
羽鳥は力のことと家族のことで、すっかり自暴自棄で引きこもっていた真っ最中。自分の心を落ち着かせるために、自分を悪いヤツだと傷つけ、歩を突き放す。それで心はどんどん蝕ばまれていく。悪循環だ。
だからこそ、唯一の信頼できる相手である歩の話が出た時、彼女は激しく取り乱したのだろう。
今もしっかりと羽鳥を信じている歩が、この事件と、羽鳥の心を解くカギになりそう。
『アリスと蔵六』10話 紗名のモシャモシャ大ピンチで大観覧車出現、衝撃展開を原作と比較しながら解説のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、豊崎愛生、大塚明夫、小清水亜美、J.C.STAFF、大塚芳忠、アリスと蔵六、17年4月期アニメ、たまごまご、コミックリュウ、今井哲也、大和田仁美、高橋未奈美、内田秀、広瀬ゆうきの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
人気記事ランキング
人気連載