『サクラクエスト』10話 オタク「コミュ障気味」女子、田舎の婚活ツアーが無理すぎてほとほと疲れ果てる

──都会での仕事に憧れる20歳女子。就活全滅、限界集落寸前の田舎のよくわかんない独立王国の王様に就任させられて、婚活ツアーを丸投げされる。浴衣を破裂させそうなしおりちゃんの胸に淡い感動を抱いたたまごまごが、『サクラクエスト』(TOKYO MXほか)全話レビューお届けします。*ここまでのレビュー

『サクラクエスト』10話 オタク「コミュ障気味」女子、田舎の婚活ツアーが無理すぎてほとほと疲れ果てるの画像1『サクラクエスト』公式サイトより

第10話『ドラゴンの逆鱗』凛々子ちゃん、だんないよ

 町の青年会が企画したお見合いツアー「どんと恋間野山」。ところが応募してきた女性はたったの3人。観光協会に泣きついてきた。木春由乃(演:七瀬彩夏)たち5人は、お見合いツアーを女子ウケするように改善、当日ガイドをひきうけることになった。

 観光協会の一人・織部凛々子(演:田中ちえ美)は、今回の企画に乗り気ではない。四ノ宮しおり(演:上田麗奈)たちが「間野山踊り」をツアー内で披露することになり、幼いころの記憶が蘇ってくる。「変わった子」と言われていた彼女は、子どもの頃いつも孤立し、踊りを習っている時は笑えず一人ぼっちだったのだ。仲間たちも、祖母の織部千登勢(演:伊沢磨紀)も、無理しなくていいと言うが、浮かない顔の彼女は一人抜け出して帰ってしまう。

■田舎は繊細なオタクにはしんどい

 今回は凛々子回。公式HPいわく「コミュ障気味」で、高卒以降引きこもり。友達はしおりだけ。好きなものはUMAと超常現象。部屋にはアニメかなにかのBOXやフィギュアが、ずらりと並ぶ。

 彼女の性格の濃さは、UMAのことを話す時イキイキいしている間野山観光協会 チュパカプRADIOを聞くとよくわかる。7月12日には彼女が主役のスピンオフ『サクラクエスト外伝 織部凛々子の業務日報』も発売予定。

『サクラクエスト』10話 オタク「コミュ障気味」女子、田舎の婚活ツアーが無理すぎてほとほと疲れ果てるの画像2UMA大臣・織部凛々子。キャラの中では一人だけふわっと浮いた服装。『サクラクエスト』公式サイトより

 オタク趣味は、田舎だとかなりしんどい。アイテムはネットで手に入るものの、学校などで共有できる相手が少なく、孤立しがち。
 特に空気を読み合うコミュニケーション重視で「みんなで一緒にやりましょう!」な風潮が強い間野山は、凛々子のような内気なオタクにはきつそうだ。

 小学校時代、踊りを習うシーンで、笑顔になれなかったがゆえに一人ハブられ状態になるシーン。せめて人数が多かったら、上達の早い子と苦手な子のグループをわけることもできたろうに。
 踊りの逸話が、にぎやかなことが苦手な竜が追い出される、というのもシンクロして酷だ。
 てか先生、笑顔の強要は、踊りの一貫とはいえちょっとした虐待ですよ。

■凛々子の選択肢

 凛々子は『エロマンガ先生』のようなガチ引きこもりではないし、ガチコミュ障でもない。実家の店の手伝いもやっているし、観光協会の由乃たちと一緒に活動だってしている。
 コミカライズ版を見ると、由乃が来る前は相当に挙動不審だったようだ。今は、少なくとも5人でいる時は、そこそこ行動的になってきている。
 凛々子の趣味に理解のあるしおりを軸に、行動範囲を広げられているのは大きい。

 千登勢の「凛々子は凛々子。無理せずそのままでいいんだよ」というセリフ。「変わらなくていい」という甘やかしなのか「個性を大事にしたまま育ちなさい」なのか、ちょっと現時点ではわからない。
 他の4人と違って「成長したい」という意識は、今の彼女にはない。ただ実際は、映画の代役をこなしたほど、本人のイメージよりはるかに成長し、変化している。

 心が成長度合いに追いつかず戸惑っている彼女。そこに、踊りの心の傷と、恋愛がらみでワイワイ集まる田舎の空気がいっぺんに来たもんだから、完全にやられてしまった。
 由乃たちが何か害したわけではない。しおりがずっと一緒にいるわけにもいかない。同情したくなるシーンは多いものの、彼女も大人だ、こればっかりは自分で折り合いをつけなければいけない。

■男どもの目はどこについているんだ

 今回の婚活ツアー、ナイナイがテレビでやってるやつに近いんだろうか。女性側が男性を選ぶスタイルのアレ。
 ネットの感想を見ると都会の3人女子には群れるのに、観光協会の女子たちになぜ目が行かないとのツッコミ多数。

 ヒロインだから、というのは置いといて。
 早苗がバリバリやり手で高嶺の花なのは、わかる。作中ではっきり結婚の話を断っているし。凛々子はそもそも顔を出さないってのも、わかる。

 由乃としおりと真希はモテるだろー! 特にしおりは、美人のようだし、地元民だし、人あたりいいし、引く手数多な気がする。
 由乃は一日中誰かと一緒なので近づけないのか、はたまた流されそうめんなどおバカ度アップしていてひかれ気味なのか。
 一人だけ髪の毛ピンクで描かれている彼女。町民との距離は、ラストまで行った時にはじめてちゃんと見えそうだ。

 千登勢が「なんでわざわざよそから呼ぶんだろうね」と婚活ツアーに対して言っていたのが引っかかる。大勢の男が集まって3人をちやほやしている様子は、物珍しさばかりが先走っているようで、確かにちょっとモヤっとする(一応、凛々子も結婚できる年なんだけど、そのへんは考慮の内なのかな?)。

 筆者は、いくら限界集落だからとはいえ、お嫁さんが来る来ないは個人の問題だから、地元がどうこう言う話ではないと思う。できるとしたら「自分・家族が引っ越してきたい」と思わせるだけの魅力を作るかどうかだけ。

 次回どういう着地点を見つけるのかは気になる……けど、まずは凛々子ちゃんだ。

 にしても、青年部部長の警察官の名前が「金田一」って。宿泊施設の古民家で死人出てそう。じっちゃんの名にかけて。

(文/たまごまご)

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