『笑ゥせぇるすまんNEW』第10夜 『Y氏の隣人』と比較しつつバッドエンディングじゃない説を考察

──『笑ゥせぇるすまん』放送当時に生まれた山川悠だ。『笑ゥせぇるすまんNEW』(TOKYO MXほか)を毎回レビューをしていくぜ。*ここまでのレビュー

『笑ゥせぇるすまんNEW』第10夜 『Y氏の隣人』と比較しつつバッドエンディングじゃない説を考察の画像1『笑ゥせぇるすまんNEW』公式サイトより

■拾ったフィルムの人

1、主人公
 田寄内志(34)現場監督

2、境遇
 ある日、拾ったフィルムを自分のものだと勘違いし、現像してしまった田寄。その写真に写った女性に恋をした田寄は、喪黒さんに彼女に合わせてほしいと頼む。で、お友だちと歩いていた彼女に声を掛けるのだが……。

3、喪黒さんの提供したサービス
 彼女の勤務先を教えてくれただけ。

4、結果
 美女の隣にいたおばさんキャラに恋心を抱かれる。で、当て馬にしてホテルに連れ込んだ結果、結婚することになってしまった。

5、旧作データ
 放送歴なし
 中公文庫コミック版5巻収録

■ウソ孫
1、主人公
 老手一人(65)無職

2、境遇
 定年退職を迎えた老手。妻から離婚されてしまう。かわいい孫に会うこともできず、寂しい日々を送っている。

3、喪黒さんの提供したサービス
 どこかの親子が、本当の孫や娘のようにメールをよこしてくれるサービス(始めたばかりはお試し期間で無料)。ただし、実際に会いに行くのはダメ。

4、結果
 野球を始めたウソ孫にグローブを渡しに行ったところを喪黒さんに「ドーン!」される。その後、実際に家に行ってみると、たくさんの老人が行列を作ってウソ孫にバットやグローブやらプレゼントしようと行列を作っていた。

5、旧作データ
 アニメオリジナル

■家族体験ができるサービスでクラウドファンディング

 ウソ孫の老手がハマったメールサービス。画面の中の疑似家族を楽しむという点では、吉田ひろゆき『Y氏の隣人』(集英社)の「家族ゲーム」(9巻収録)と内容が似ている。

 家族ゲームは、独身男・津田一郎が結婚生活、家族生活を体験できるゲームにはまる話。子どもが大きくなるにつれて、ゲーム内の課金が増えていく。最初は内職をして日銭を稼いでいた津田だったが、定職に就いて、ゲーム内の子どもの養育費を稼いでいった。

 課金されたお金は、孤児院の一人の子どもに使われていた。少年が社会人になったころに、津田のもとにやってきて一緒に暮らすことになる。電子上の付き合いのみだったニセモノの家族が、長い時間を一緒に過ごして本物の家族になった。

 ウソ孫の老手は、メールサービスにハマっていくにつれて、食生活がしっかりしていく。当初はコンビニ弁当だったのが、カップうどん、手作りのカレーライス、というようにどんどん手間のかかる食べ物にステップアップ。携帯電話もスマホに買い替えた。津田同様、疑似家族との関わりをキッカケに生活にハリが出てきている。

 最後は、自分以外にもたくさんの老人がウソ孫に夢中になっていたことが分かって絶望する老手。だが、プレゼントをあげようと並んでいる老人たちはワイワイ言いながら笑っていたり、老手にスマホの待ち受けを見せたりしてウソ孫の自慢をしていた。バッドエンディングには見えない。

 喪黒さんが締め台詞を吐いた場所も気になる。どこかの球場で、プロ野球選手がホームランを打ってダイヤモンドを一周していた。選手の背番号は55。少年野球を習い始めたウソ孫と同じ数字である。ヘルメットからはみ出る襟足もそっくりだ。

(文/山川悠

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