「利益よりも大事なものがあるからです。それが、ここです。宇宙」
『正解するカド KADO:The Right Answer 』(TOKYO MXほか)の8話。米光一成が全話レビューするよ。*ここまでのレビュー
■人体に予期せぬ影響が現れる放送
「本放送中において、
異方に由来する特殊な物体が
映し出されます。
その視聴によって、人体に予期せぬ
影響が現れる可能性があります。
視聴を継続させる方は、
その点を何卒ご了承ください」
ドーンと、テロップが、テレビ画面いっぱいに出る。
すごい。
これを、テレビの中の映像として描かずに、画面いっぱい直接出したインパクトは大きかった。
その後の特別番組映像も、なかなかスリリングだった。
こういった「けれん」のあるシーンは、おもしろい。
が、それを支えるドラマ部分のリアリティレベルがバラバラなのは、とても残念だ。
登場人物どうしで「有能だ」「有能だ」と褒めそやしているが、そういった人たちの行動がことごとく迂闊なのだ。
■武者小路実篤の『人間萬歳』は神の物語だ
ヤハクイザシュニナが読んでいるのは武者小路実篤の『人間萬歳』。
宇宙の神様が、自分の脳味噌の垢の入った命の水を垂らして地球に生物を誕生させる戯曲である。
神と天使たちが「人間万歳」と大喜びするラストシーンを迎える。
「お前は……神なのか……?」という予告のセリフ(ヤハクイザシュニナを神だと言うセリフは、いままでに何度かでてきている)を考えると、シンクロしまくる物語をヤハクイザシュニナは読んでいるのだろう。
武者小路実篤の描く登場人物たちがぽーかーんとしてる部分も、強烈にシンクロしている。
その横で、脳に影響を与えるサンサの映像を流すかどうかを議論している言野匠チーム。
「体調を崩す人だって」と心配するメンバーもいるなかで、
言野匠は、「俺たちは大丈夫だった」と言い出す。
自分たちが大丈夫なら大丈夫という無茶な発想。しかも、そこにいる3人だけ、である。
「俺は平気だと思います。言野さんも感覚で判るでしょ」
感覚で判るという無茶な発想。検証するという考えはないのである。
「もしも、それだけじゃなかったら、どう責任を取れば」
という人に対して、心配しすぎだと返す。
心配する人と無茶な人しかいなくて、冷静に検証しようとする人がいない。
『正解するカド』8話 人体に予期せぬ影響が現れる放送を流していいのかのページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、東映アニメーション、寺島拓篤、釘宮理恵、斉藤壮馬、正解するカド、正解するカド KADO:The Right Answer、17年4月期アニメ、三浦祥朗、米光一成、M・A・O、SF、メッセージの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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