【今月の不健全図書レビュー】池玲文『媚の凶刃～X side～』ちゃんと修整しているのに作品力が激烈。東京都もビビったことを誇るべき。

• ツイート
• 

　ところがどっこい。この修整によって余計にエロスが増している感があるのです。これは、池氏が上手すぎる。あるいは、作品にリピドーが溢れまくっているゆえです。止められないリピドーが溢れかえる作品というのは、例え服を着ている状態でも、読者に性的興奮を与えます。そんなとてつもないものが、BL読者のみならず、誰にでもわかりやすく丁寧に描かれているのです。

　指定非該当とする意見では【修整が適度になされ、表現面で配慮されている】など、ちゃんと修整されているゆえに、問題ないとしていますが、無理です。このリピドーの前には説得力がありません。【一部の特定のマニアが購入する商品であり、青少年は手に取らないと思う】という点を推すしかありません。

【性的マイノリティの存在を青少年が知ることも必要ではないかとも思う】という意見を述べている委員もいるのですが、これは一種的を得ているような気が。きっと、この作品で自らの性志向を知る人もいるんじゃないか。それくらい強烈な作品なのです。

　即返品してくる書店もあるなど、面倒くささと利益とを考えると指定などされないにこしたことはありません。しかし、実のところ単なるマヌケで指定されたものと、作品に力がありすぎて指定されたものとには大きな隔たりがあります。

　この作品は、まぎれもなく後者!!　東京都もビビる作品力を誇ってよいのではないかと思います。
（文＝昼間たかし http://t-hiruma.jp/）

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/680/680siryou8.pdf

 
• 前のページ
 
• 1
 
• 2