「知ってた!」5回目の引退宣言→撤回の宮崎駿の、“新作長編”への期待と不安とは

・3年間という制作期間で大丈夫?
 制作が遅れがちな高畑勲監督に比べて、比較的コンスタントに新作を制作・発表しつづけてきた宮崎監督だが、短編CG映像『毛虫のボロ」は初めてのCG作品とはいえ、15年から制作に取り組んでいるのに、いまだに公開されていない。今年4月に鈴木敏夫プロデューサーが「7月には見ていただける」と語ったが、その後も詳細は発表されていない。

 映像自体はすでに完成しているようだが、短編でこれだけ手こずっているのだから、長編ではさらに苦戦するかもしれない。新作は2D主体になるのか、CG中心になるのかは今の段階ではわからないが、3年で本当に完成するのか。現在76歳(1941年1月5日生まれ)の宮崎監督だけに体調面も不安だ。

・制作スタッフは大丈夫?
 スタジオジブリの公式サイトでは「動画」「背景美術」の新人スタッフをそれぞれ若干名、募集している(17年10月1日からの3年間)。新人スタッフがいきなり宮崎アニメの中核を担うことは難しいだろうから、大体のラインを任せられるスタッフの目星はついているのだろう。

 だが、周知と思われるがスタジオジブリは14年8月に制作部門の休止を発表、同年内をもって制作部門の社員全員が退職してしまっている。

 監督をスタジオジブリ出身で、『借りぐらしのアリエッティ』(10年)、『思い出のマーニー』(14年)の監督として知られる米林宏昌、プロデューサーも元スタジオジブリで、『かぐや姫の物語』(13年)、『思い出のマーニー』でもプロデューサーを務めた西村義明による新作劇場アニメ『メアリと魔女の花』(7月8日公開)をはじめ、元ジブリのスタッフは各所で活躍を見せているが、宮崎アニメの現場はどれぐらい実力あるスタッフを集められるのか。

 何より、16年には『天空の城ラピュタ』(86年)、『となりのトトロ』(88年)など、数々のスタジオジブリ作品に携わったアニメーターの二木真希子氏、『風の谷のナウシカ』以降、30年間に渡りジブリ作品で色彩設計を務めてきた保田道世氏が死去されている。宮崎監督を支える周囲のスタッフも高齢化してきているのも、当然の話だが気になるところ。

・万が一コケたらスタジオジブリは大丈夫?
 日本歴代最高興行収入を『千と千尋の神隠し』で記録した宮崎監督。だが、『ハウルの動く城』:196億円、『崖の上のポニョ』:155億円、『風立ちぬ』:120.2億円と、その数字は次第に落ちてきている。『風立ちぬ』の120.2億円も大ヒットであることは間違いないのだが(日本映画歴代7位)、『千と千尋の神隠し』の約2/5と考えると寂しいし、今度こそ最後の作品(と本人は発言)ということで、宮崎監督もより力と気合が入ることであろう。となれば、制作費もそれなりにかかるのではないだろうか。

『かぐや姫の物語』で高畑監督がこしらえた巨額の赤字を、『風立ちぬ』の興行収入やビデオパッケージ補填したスタジオジブリだが、万が一新作の興行が奮わなかった場合、どう挽回するのか。“宮崎駿の引退作”という看板を素直に信じるファンもさすがに減ったであろうから、不安が残るポイントだ。

風立ちぬ

風立ちぬ

公開当時からよく「引退せぬ」とか言われてました

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