『舞妓さんちのまかないさん』“舞妓めし”ってどんなもの? 最高の癒しグルメ漫画

「週刊少年サンデー」で連載中のマンガ『舞妓さんちのまかないさん』(作:小山愛子/ともに小学館)の第1巻が4月12日に発売されました。全く少年マンガらしくない雰囲気が一部の層から大好評を博しているこの作品をレビューしていきます。

 物語の主人公は16歳の少女・キヨ。タイトルの通り、彼女は舞妓たちが空き時間を過ごす「屋形」でまかないを作る「まかないさん」。

 もともとキヨは学生の頃に公民館にやってきた舞妓に憧れて舞子になることを決意し、15歳の時に幼馴染のすみれと青森から京都に上京しました。しかし京都にきて半年、おっとりとしたキヨは「おとめ」を言い渡されることに。「おとめ」とは稽古差し止めという意味。つまりキヨは舞妓に向いていないと判断され、見切りをつけられてしまったのです。

 時を同じくして、屋形で働くおばちゃんのまかないさんが腰を痛めて離脱、舞妓たちはお弁当生活を強いられていました。単調な食事が続き、弁当を見るのも苦になってきたある日、キヨがありものでつくった親子丼がとても美味しく! ではなく、普通~の味で、でもそれがどこかほっとする味と好評を博し、そのままキヨはまかないさんとなったのでした。

 同作では特にドラマチックなことは起こりません(少なくとも1巻では)。華麗な舞妓をキヨが裏で支える日常がたんたんと描かれています。しかし、表舞台では人形のように上品に振る舞う舞妓が、裏ではプリンの食べた食べてないで揉める普通の女の子に戻るようすなどが描かれて、その何気ない日常はおそらく一般の読者には新発見の連続でしょう。

 セットした髪の毛はしばらくほどけないからコンビニにも行けない、髪型が崩れないように“高枕”で眠る、舞妓もやっぱりパソコンを使って作業をする、などといったちょっとした“舞妓さんあるある”も、作品を通じて知ることができます。

 もちろん一応グルメマンガだと思うので、料理についてもたくさんの情報が。舞妓は紅がとれないように一口サイズのおにぎりを用意する、花街では家庭を思わせるものは避けられているため、男たちに帰る家を思い出させないために、匂いが強いカレーは食べないといった、舞妓のまかないならではの食事が登場。

 舞妓の姿や、おいしそうな料理が繊細で可愛らしい絵で描かれているのもポイントで、綺麗な着物に身を包み舞妓がたたずむ絵はうっとりするほど美しいし、キヨはにんまりするほど可愛くて良い子だしで、読んでいて何とも言えない和やかな気持ちになっちゃいます。

 これが少年マンガ誌のラインナップにあるのは少し違和感がありますが、分厚い雑誌を読む中で、こういう作品が挟まれているのは読者にとってかなり有難いかと思います。知らない世界を少し覗いてみたい、ほっと一息つけるマンガを読みたい、そんな人に『舞妓さんちのまかないさん』はオススメです。
(文・白子しろこ)

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