たった一度のデートの思い出が、今もほろ苦く胸を締め付ける──ドラマ『人は見た目が100パーセント』第6話レビュー

たった一度のデートの思い出が、今もほろ苦く胸を締め付ける──ドラマ『人は見た目が100パーセント』第6話レビューの画像1ドラマ『人は見た目が100パーセント』公式サイトより。

 学園ドラマが好きだ。

 学校を卒業してもう何十年にもなるけれど、あの人生に迷う感じとか、慣れない恋にドキドキする感じとかが昔を思い出させ、懐かしさに浸ることができる。残念ながら今クールには学園ドラマはない。しかし見ていて気づいた。『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)は、そんな学園ドラマの要素があるのではないかと。

 第6話は、城之内(桐谷美玲)の同僚、佐藤(ブルゾンちえみ)がメインの回だった。

 通勤途中、メガネ屋のガラスに激突し、病院に担ぎ込まれた城之内。居合わせた榊(成田凌)が連れて行ったのは、セレブ御用達の高級病院だった。

 検査のため入院することになった城之内だが、相部屋になったセレブたちに引け目を感じてしまう。そんな彼女に可愛いルームウェアを届けようと、前田(水川あさみ)と佐藤は、ルームウェアの研究を始める。悩んだ挙句、上下で1万円以上するルームウェアを買い、城之内に渡す。

 一方、佐藤は、同じ研究所で理系男子の丸尾(町田啓太)のことが気になって仕方がない。彼が毎朝ウォーキングをしていることを知り、偶然を装ってそこに押しかける。

 ようやく訪れた、二人っきりの時間、しかし佐藤は緊張して何を話していいかわからず、丸尾の楽しそうな顔を見ることはできなかった。

 研究室で、佐藤は前田にほろ苦い思い出を話す。

「昔好きな人とデートしたことがある。一度だけ」

 その時は、自然体でいることができずに、相手を退屈そうにさせてしまったという。

 誰にでも、初めてのデートの思い出はあるだろう。そんな思い出を多く重ねて、一回一回の大切さが薄まっていく。しかし、佐藤はその一回の思い出をいつまでも大切にしているのだ。

 どんなものでもそうだが、たくさんのものを手にしている人は、そのもののありがたみをあまり感じなくなっていくものだ。

 お金をたくさん持っている人は、わずかな金額の大切さを忘れがちだし、たくさんの恋人がいる人は、一人の人を愛する尊さを感じにくいのではないかと思う。

 それは例えば、デートにしても同じ。たった一度のデートの思い出を、慈しみながら生きている人は、それがどれだけ幸せな時間であったかを誰よりも感じることができるだろう。

 城之内は榊の見舞いを待ちながら、薬の副作用で眠り込んでしまう。榊は、城之内の寝顔を見ながら、花とメッセージを置いて帰る。

 城之内、前田、そして佐藤。3人とも、本当に不器用な人達だ。現代の丸の内のOLの話だと言うのに、リケジョの姿を借りた、中学生の恋愛のようだ。この微笑ましさ、正に学園ドラマと共通すると言っていいだろう。

 このドラマの一つのキモは、誰も経験したことのないような変わった3人の姿を描いていながら、その実、誰もがかつて経験したような純粋な気持ちを思い出させてくれることだ。

 若い時分、誰だって最初から、オシャレや、都会の環境や、恋愛に慣れていたわけではない。時には恥をかきながら、時には涙を流しながら、無様な格好をさらして、徐々に自分の立ち位置や居場所を探していった。

 そのことに気づけば、このドラマの意味は、何倍にも深いものに感じられる。

 来週以降、不器用な3人の恋愛がさらに進展するのか。

 おそらくは、また行ったり来たりのもどかしい恋が続くに違いない。でも、そんなもどかしさが愛おしく思えるのもまた確かなのだ。
(文=プレヤード)

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