記憶力もメンタルヘルスも向上する! ビデオゲームの6つの科学的効能

 ビデオゲームは脳の発育に良いのか悪いのか? この件に関しては、これまでにいろんな説が登場しているが、当初のいわゆる“ゲーム脳”についての論争もひと段落つき、最近はゲームを肯定的にとらえる研究が徐々に優勢になっているようだ。

1705_video_games.jpg「Science Alert」より。

■ビデオゲームの6つの科学的効能

 学童期の子どもにとってビデオゲームに費やす時間が増えるのは確かに問題なのだが、ビデオゲーム自体が脳の発育にどのような影響を及ぼすのかについては、今もいろいろな説が唱えられている。そこで科学的に“良い”とする6つの効能が科学系オンラインジャーナル「Science Alert」でまとめられている。

1. 3Dのビデオゲームは脳の記憶容量を増大させる
 2015年に米・カリフォルニア大学アーバイン校から発表された研究では、69人の実験参加者を1グループ23人の3つのグループに分け、Aグループには『スーパーマリオ 3Dワールド』を2週間遊んでもらい、Bグループにはスマホゲーム『アングリーバード』を同じく2週間プレイしてもらい、残りのCグループには一切ビデオゲームをせずに2週間を過ごしてもらった。

 研究に入る前と、研究後に記憶力の容量を計測するテストが行なわれたのだが、『スーパーマリオ 3Dワールド』をプレイしたAグープのみが、平均してプレイ後の記憶力の向上が見られたという。そして、これは3Dゲームでもたらされる効能だと考えられている。

2. ビデオゲームは肉体的な痛みを緩和する
 12年に発表された研究によれば、それまでの38の研究を詳細に検証することで、病気療養中などでのビデオゲームは心身両面で健康状態を改善する効果があるという。

 また10年の研究によれば、ビデオゲーム、特にVRゲームは不安障害の緩和、慢性疾患や術後の痛みの減少につながることが指摘されている。南カリフォルニア大学のジェフリー・ゴールド氏によれば、ビデオゲームへの集中が痛みを紛らわせ、VRゲーム体験がほかの肉体的感覚を引き起こすのだとか。

3. ビデオゲームは難読症の子どもの読解力を向上させる
 13年の研究によれば、『ラビッツ・パーティー(Rayman Raving Rabbids)』などのアクションゲームが、難読症(ディスレクシア)の子ども(7歳~13歳)の読解力と読解スピードを改善することが報告されている。

 それまでの難読症の改善メソッドに比べて、ビデオゲームは短期間での改善が見込まれるという。アクションゲームのテンポの早い動きが、集中力の持続時間の延ばすためであると考えられている。

4. 『テトリス』がトラウマの軽減に役立つ
 昨年のイギリスの報告では、急患で運ばれた交通事故患者の37人が『テトリス』を20分間プレイすることで事故後の後遺症の治療に大きな前進がみられたということだ。

 文章を書いたり、クロスワードパズルを解いたり読書をした患者もいたのだが、『テトリス』をプレイしたグループが最もトラウマを取り除くことができたという。研究者たちは、『テトリス』のシンプルなゲームシステムは、気晴らしにうってつけで、トラウマ経験を持つ人のメンタルヘルスを大幅に改善する手軽な治療法になると説明している。

5. 認知機能を向上できる
 13年に発表された研究では、家庭用ゲーム機器でも認知機能を向上できることが指摘されている。実験では、それまでビデオゲームの習慣がない参加者にそれぞれジャンルの異なるゲームアプリを1日1時間、4週間にわたってプレイしてもらった。プレイの前と後に認知機能を測るテストを行なったのだが、すべてのグループにおいて短期記憶力などの認知機能が向上していたということだ。

6. ビデオケームの習慣は脳の皮質の増量に関係がある
 14年にドイツで発表された研究によれば、『スーパーマリオ64』で遊ぶことで、脳の新皮質が増えて脳が大きくなることが指摘されている。脳の外側を覆っている白質や灰白質などの皮質の厚みが増し、空間把握力や記憶形成、戦略的思考や運動神経などの向上につながるということだ。

 研究では24人の実験参加者に1日30分『スーパーマリオ64』をプレイすることを2カ月間続けてもらってから、MRIを使ってプレイ前とプレイ後の脳の構造を比較した。すると、プレイ2カ月後は脳の灰白質、前頭前皮質、小脳の体積が増加していたという。これはビデオゲームによって脳のある部分が“鍛えられて”いることの証拠になると研究は結んでいる。

 実際にゲームは“脳トレ”になっているということだろう。特にVR時代のゲームは、現実の体験と遜色ない生々しい情報のインプットがもたらされる。単にゲームの話にとどまらず、学習・教育プログラムにまで話を広げれば、デジタルコンテンツの大きな可能性が広がっているとも言えるだろう。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Science Alert
http://www.sciencealert.com/6-scientific-benefits-of-playing-videogames

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