ミリオタライター二木知宏の「武器で見る映画」第13回

インドから西洋まで! 剣戟の歴史を受け継いだ『無限の住人』

インドから西洋まで! 剣戟の歴史を受け継いだ『無限の住人』の画像1映画『無限の住人』公式サイトより

 武器で見る映画第13回目は、日本映画です。三池崇史監督、木村拓哉主演の『無限の住人』です。原作は沙村広明の同名漫画です。キムタク主演ってワクワクしますね。意気揚々と見てまいりました。

 剣客集団・逸刀流(いっとうりゅう)に両親を殺された凛(杉咲花)が仇討ちを遂げるため、不老不死の肉体を持つ男である万次(木村拓哉)に用心棒を依頼したことで、物語は動き出します。文字通りの“ぶった斬り”エンターテインメントでした。

 本作での注目ポイントと言えば、キムタク演じる万次が多数の武器を隠し持っていることです。敵の使用する武器で気に入ったものは奪って使っています。そのほぼ全てが架空の武器なんですが、実際、江戸時代までの日本でも、さまざまな武器が作られており、恐らく、これがモデルだろうと思うような武器もたくさん出てきました。それでは、『無限の住人』に登場する武器の数々を紹介していきましょう。

 まずは基本の日本刀、打刀を紹介します。馬上合戦用の太刀とは違い、馬から降りて戦うときの刀を打刀と言います。本作では、万次は打刀を日本帯刀しており、両手に持って二刀流のように戦うのが基本形です。そして、その刀にはギミックがあり、片方の柄を外し、もう一方の柄に接続できるようになっており、一つの柄の双方から刀が出ている形です。スターウォーズのダースモールのライトセーバーや、ガンダムのグフのビームナギナタみたいな形状です。小山ゆう原作で映画化もされた『あずみ』も柄の先から短い刀が出るギミックがありましたが、やっぱりそういうギミックってワクワクしますよね。ただ現実問題として、ギミックを追加すればするほど、強度は低くなります。恐らく実戦向きではないですよね。

 最初に出てくる敵の武器、通常の刀が途中で鉤爪のように出っ張っており、形状で言うと、十手のようなものになっています。これのモデルじゃないかと僕が思ったのは、十手の元になったのではないかという説もある「兜割」という武器です。主に室町時代に捕縛用に作られた武器で、日本刀による斬撃を防ぐことができる頑丈さ。殺すことができないため、刃はありません。長さは15cm程度の短いものから、100cmくらいの長いものまであります。頑丈にするため、通常の日本刀よりは厚みがあり兜割で防がれると攻撃した日本刀の方が刃こぼれで使い物にならなくなるほどだったとか。

 どんどん紹介していきましょう。万次が使う武器で、二又に分かれた短剣が出てきます。エヴァンゲリオンのロンギヌスの槍の先みたいな形状です。モデルは琉球古武術で使用された釵(さい)という武器。釵は三又の十手のような形状で、イマイチルーツがわかっていない武器ですが、アメリカで大人気で、なぜか忍者の武器として紹介されたりします。

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