『フルドラム』はラグビー版『スラムダンク』? 「ヤンジャン」の熱い新連載王道スポーツマンガ

「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中のマンガ『フルドラム』(作:箱石達)の第1巻が4月19日に発売されました。熱血正統派ラグビーマンガのようで、さっそく支持を獲得しつつある本作をレビューしていきます。

 主人公の高校一年生・日野晴成は、リア充ライフを夢見て運動部へ入部しようとしますが、あまりの運動音痴でどの部もすぐクビに。サッカー、陸上、バレー、テニス……どの才能もありません。それでも運動部に入ろうとするのは、運動部員はみんな彼女がいて、高校生は運動部じゃなきゃモテないと思っているから。運動神経は悪いけど日野は軟弱タイプの主人公ではなく、熱血バカタイプのようです。

 そんな日々を過ごす中、学校で出会ったのがラグビー部のマネージャーをしている同学年の女子・登戸綾子でした。綾子に一目ぼれした日野は、彼女と出会った日はラグビー部が休みとのことで、次の日にラグビー部に見学に行くことを約束してこの日は別れます。

 ところがその夜事件が発生。日野がコンビニでラグビーの本を立ち読みしていると、偶然にも綾子が外の駐車場にいました。声をかけようとしましたが、そこへラグビー部のキャプテンもやってきて、2人は部活の備品を学校まで運びます。ここへ不良軍団がやってきてテンプレのように綾子に「遊ぼうよー」と絡んでいきます。

 するとキャプテンは、スポーツマンがそれやっていいの? と思っちゃうほど不良軍団をボコボコに。しかしバイクでの突撃を受けて負傷。完全に頭に血が上っている不良は、キャプテンと綾子を轢き殺そうとバイクを走らせますが、ここに現れたのが日野でした。

 日野は何と突撃してくるバイクに正面からタックルして倒してしまったのです。これを見た綾子は日野にはラグビーの才能があると確信するのでした。

 女にモテたくて未経験者がスポーツを始める、ヒロインは主人公の素質にいち早く気付くといった展開は、あの名作『SLAM DUNK』(作:井上雄彦/集英社)臭がして、ネットでもそこそこツッコまれていますが、よくある導入といえばよくパターンなので仕方ないでしょう。

 その後の部活の様子で明らかになる日野の性格も、綾子に“天才”と言われたために、初心者だけど自信満々で態度がでかい、おだてられるとすぐに調子に乗るなど、桜木花道感がかなりありますが、嫌みが無くてスポーツマンガの主人公としては悪くない気も。

 1巻の時点では正直まだ『SLAM DUNK』のラグビー版っぽいですが、これからライバルキャラの登場や、熱い試合内容を描いて、どんどん独自の作品として盛り上がっていくことを期待したいです。

 画は迫力があるし、ラグビーマンガ自体はそこまで多くないので、このように王道で突き進むのもいいかもしれません。何しろ再来年の2019年は日本でラグビーのワールドカップが開催されるわけですから、タイミングもいいです。物語が進むにつれて面白くなっていき、5、6巻が出るころには大ブームになっていてもおかしくはない! と思えるような作品です。
(文・白子しろこ)

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