強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビュー

――“歌”がテーマだった『マクロスF』の印象も強いので、そのあたりも起用された理由の一つなのかなと思っていました。

三間 僕に声を掛けてくださったプロデューサーは『マクロスF』自体は知っているでしょうけど、僕がやっていたと知らないんじゃないかな……(笑)。また『マクロスF』で言うと、実は歌パートは担当していないんです。例えば、疲労困憊しながらシェリル・ノームが「私が……」って立ち上がって歌うシーンも4小節まではこっちで録りますが、そこから先は歌唱音源とつなげているんですよ(笑)。

――『SING/シング』も音楽映画なので、セリフと音楽が混ざっているというか、境界線が曖昧なシーンもありますが。

強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビューの画像3山寺宏一演じるジャズ・ミュージシャンのネズミ、マイク

三間 そうですね。例えば、マイク(ジャズ・ミュージシャンのネズミ/演:山寺宏一)が風に飛ばされそうなときに、歌の途中で「んっ!」「あっ!」と叫ぶシーンがあるんですが、あれは山寺さん流石でしたね。

 違和感なく繋がって聴こえていると思いますが、「んっ!」「あっ!」っていうリアクションを最初に録って、後から歌を重ねているんですよ。歌を最初に録ってからリアクションを重ねるのは、歌を聞きながらその高揚感の中でリアクションをすればいいので簡単だと思います。でも、その逆だと、最初にリアクションを録っているから、歌の終わりにいくまでそこのテンションが分からない。そこで帳尻を合わせる山寺さんってやっぱりすごいなと改めて思いました。

 アフレコが終わった後に、山寺さんの車に乗せていただいたんです。そしたら、車内でずっと「マイ・ウェイ」(劇中で山寺演じるマイクが歌うフランク・シナトラの楽曲)を聞いているんですよ。おそらく自宅のお風呂とかでも聞いているんだろうなと思います、それくらいストイックな方なんですよ。あれだけのキャリアがあれば、「もう必要ないんじゃない?」って思っちゃいますが、ただモノマネするんじゃなくて、自分の「マイ・ウェイ」にしようとしているのが見えて、やっぱりこの人「超プロ」だなと。相当なストレスだったと思いますよ。

――その他のキャストさん方で印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

三間 最初、ヒツジのエディを演じた宮野さんは、2パターン録らせてもらったんです。エディって、最初から宮野さんっぽいなって思っていたんですよ、なんとなくですが(笑)。宮野さんとは『ポケットモンスター』で4年近くご一緒していて、そのときの彼の佇まいがすごくエディっぽくて。「そのまんま、ナチュラルな宮野さんでやってもらっていいですか?」とお願いしました。

 もう一つは、エディってヒツジなので歯周りがすごく大きくて、喋りにくいっていうのがあって、「歯を意識してやってもらっていいですか?」と。「コミカルにですか?」って聞かれたので、「ちょっと作り込む方向で。この子の印象を強めたいんです」って2つを録って、アメリカに送りました。2つ目の作り込んだほうをやらせたときに、宮野さんってあんまりそういう芝居をしたことがなかったのか、楽しそうでした(笑)。

強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビューの画像4宮野真守演じるヒツジのエディ。主人公の友人で裕福な家庭で育った

――いわゆる“イケメン”なキャラクターを演じることが多いですもんね。

三間 そうなんです。でも、そっちはノリすぎで(?)はみ出ちゃったのか、NGになってしまって(笑)。なので今回は素のほうの演技になっています。普段は飄々として見えますけど、ノッたら本当に情熱が強い彼の欲張りさが裏目に出てしまったオーディションでしたね(笑)。

 また、『SING/シング』が上映されてから、知り合いからSNSなどで感想が届くのですが、ブタの専業主婦を演じた坂本さんについては、「なぜ、坂本さんと斎藤さんの歌(テイラー・スウィフトの「シェイク・イット・オフ」)だけ吹き替えを作らなかったんですか?」ってお叱りを受けます。

 ちゃんと吹き替えていますから! オリジナル版のリース・ウィザースプーンとソックリすぎて、吹き替えしてることに気付かない人もいるぐらいなんですよね。坂本さんも舞台挨拶で、「私と斎藤さんが歌った歌は英語版だったんで、何で吹き替えて歌わなきゃいけなかったのかわかりません」ってコメントして爆笑をとっていましたが(笑)。「あれも坂本さんと斎藤さんが歌っています」って言ったら「そのつもりでもう一回観よう」って言ってくれる人も結構いますね。

 坂本さんの歌を録った後、「そっくりすぎて、イジる所無くコピーでしたよ」って蔦谷さんが言っていて。「これ録る必要あったのかな?」って思うくらい、坂本さんが原音に寄せてきたんです。こちらとしても、坂本さんだったらイケるなと思っていましたが、そういう視聴者の反応も面白かったです。

 坂本さん演じるロジータとペアを組むグンター役を演じた斎藤さんもグンター役の芝居心がすごくありましたね、やっぱ漫才もコントもやっているからでしょうか。

強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビューの画像5ペアを組むことになるグンター(演:斎藤司)とロジータ(演:坂本真綾)。2人が歌う「シェイク・イット・オフ」は必見!

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