強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビュー

――では、山寺宏一さん、坂本真綾さん、田中真弓さん、宮野真守さんといった声優のみなさんは三間さんのご人脈でキャスティングを?

三間 “人脈”と言うとなんだか偉い感じに聞こえますが(笑)、一応候補は出させていただいて、オーディションをさせていただいて。というのも、各キャラクターにアメリカのスタッフがキャラクターにどんなイメージを持っているのかが、僕にはわからない。

 だから、候補を出すにしても、リアルなお芝居ができる方、元気で活発なイメージを与えることができる方、そして何でもできる万能タイプの方と、3方向から候補を出したりとか工夫しました。結構な大御所の方にもオーディションに参加してもらっています。

 その上で、たとえばベテランの田中さんには「すみません、僕、吹き替えは初めてなので、どうやったらオーディションに受かるのか、僕にも分かりません」と素直にいって相談させてもらったりもしました(笑)。田中さんはたくさん外画も経験されているので、「これは原音に似せなきゃダメなのよ!」って。あれは大きかったです。

強敵は内村、MISIA、大橋の3人だった――!? 映画『SING/シング』日本語吹き替え版演出・三間雅文氏インタビューの画像2田中真弓演じる劇場で働くトカゲのおばあさん、ミス・クローリー(左)

――基本的にはオリジナル版キャストの声や歌声に寄せていくということですか?

三間 そうですね。そこを外してしまうといけないので、なるべく外画の歌手の方たちの骨格を見て、似ている人の中から選出したり。それプラス、声がそっくりなだけじゃなくて、「こういうコースをお持ちの方を使うと面白いですよ」という変化球も入れたつもりです。日本語の“間”が、アメリカの“間”と同じかどうかは僕にはちょっと分かりませんが、この人だったらこっちがコントロールして、ある意味面白いものを引き出せるかなっていう可能性を持っている人を候補に入れました。

――その結果、歌もお芝居も上手で実力のある、アニメファンはもちろん、エンタメ好きなら、大抵の人が知っているだろう顔ぶれが揃いました。今回の作品では、音楽プロデューサーに蔦谷好位置さんのお名前がクレジットされていますが、三間さんは、具体的にどのようなことを担当されたのでしょうか?

三間 パート分けをしていて、歌の部分は全て蔦谷さんにお任せしているんです。「収録に来て下さいよ」と声をかけていただいたり、最初は音楽の方のスケジュールも全部出していただきましたが、蔦谷さんと最初にお会いしたときに、どう見ても僕より年が下だなって思ったんですよ。僕が年下だったときに年上の方がきちゃうと、萎縮してしまうなと。「どうですか?」って蔦谷さんが気を遣ってくださるのが頭に浮かんでしまって。そうすると、蔦谷さんが作ったものじゃなくなってしまうと思ったので、歌唱シーンや音楽シーンは蔦谷さん、演技パートはこちらが担当するという形で分かれました。

 一箇所だけ、最後のライブシーンでキャラクターたちが大勢で歌うところがあって、そこだけ、僕らが録っているときに蔦谷さんがいらっしゃって歌唱指導をしていたんです。そのとき初めて蔦谷さんの仕事を目の当たりにしたんですが、彼のディレクションを見て「すごい!」ってものすごく感動して。ミックスの作業は2人での共同作業になるので、より信頼関係を築けて、コミュ二ケーションも取れました。

 5、6回しか会っていないのに、最終日が終わった後に「飲みに行きましょう!」って、みんなで大パーティーをしたんです。そんな現場は今までなかったので、「短期間でみんなで一つになった、楽しかったな」というのがこの作品の印象ですね。

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