――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!
【今月の指定図書】
3月の指定図書は2冊。まず、一冊目は、大見武士『熟花の告白~オンナたちの都市伝説~』(リイド社)。
何かと、セックス主体の作品で指定を受けるリイド社。最近は、成年マーク付きの単行本にも進出しているわけで、そちらで出版したほうが安全なはず。それでも、マークなしのほうが販路が広いというビジネス上の理由もあるのでしょう。
(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)
さて、ひたすらに熟女の告白形式でセックスを描いているだけの、この作品。完全に、実用重視のエロマンガという感覚を得るのですが、自主規制団体の意見は意外。指定該当3・保留1・指定非該当9という結果になっています。
白抜きしているとはいえ、描写は18禁レベルだと思うのですが、これはなんでしょう?
指定非該当の意見で多く指摘されるのは、修整をちゃんとしているという点です。
【描写が著しく性的感情を刺激する程ではなく、修整も大きい】【性的描写は多いが、局部の修整は十分になされており、著しく性的感情を刺激する程ではない】【性器及び結合部の修整が大きく、的確になされている。また、白抜きによって直接描写を避ける等の配慮があり、卑わい感が少ない】などと、やたらと修整をちゃんとやっていることが評価されているのです。
実は、この作品は白抜きの修整が、ものすごく上手なのです。通常、白抜きは「取りあえず消してみました」感が出てしまうものです。ところが、この作品は違う。違和感なく、ぼんやりと白い感じになっている。かつ「ちゃんと配慮していますよ」感を出しているのです。
エロにおける修整で、まず必要なのは権力に対して、配慮している意志を示すことです。
この作品は、その点では成功をしたのでしょうが、いかんせんセックスシーンが多く、あまりにもエロ過ぎた点が「失敗」だったのでしょう。いわば、惜しいというところ。
こんなにハイレベルな修整をできるリイド社。さすがに、何度も指定を喰らっているベテランは違います。
(文=昼間たかし http://t-hiruma.jp/)
今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/681/681siryou8.pdf
【今月の不健全図書レビュー】大見武士『熟花の告白~オンナたちの都市伝説~』神業的な修整を評価されるもセックスシーンが多すぎたか のページです。おたぽるは、エロマンガ、マンガ&ラノベ、昼間たかし、不健全図書レビュー、リイド社、不健全図書、hentai、大見武士、熟花の告白~オンナたちの都市伝説~の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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