――今週はガチでゲーム制作話ですよ。フェア終了ギリギリで冴えない彼女の育てかた♭×アトレ秋葉原のコラボを満喫してきたかーずSPがTVアニメ『冴えない彼女の育て方♭』を全話レビューします。※これまでのレビュー。
■Episode#3「初稿と二稿と大長考」
高校生の安芸倫也(あき ともや/演:松岡禎丞)が、幼馴染の同人作家やラノベ作家の先輩と一緒にギャルゲーを作る『冴えない彼女の育て方♭』(フジテレビ系「ノイタミナ」)。監督が亀井幹太、シリーズ構成は原作者の丸戸史明、 A-1 Pictures制作という豪華なスタッフで第2期が放送中。
前回、別れ際に霞ヶ丘詩羽(かすみがおか うたは/演:茅野愛衣)から渡された一本のUSBメモリ。中身は、すでに出来上がっていたゲームシナリオとは違う、別ルートのシナリオだった。作品そのものが変わってしまうほど違いすぎる二つの結末。どちらも捨てがたく悩んでる倫也の横で、加藤恵(かとう めぐみ/演:安野希世乃)がプレイしていた同人ゲーム。そのイラストは、倫也を慕っている弟子の波島出海(はしま いずみ/演:赤崎千夏)が描いたものだった。
■純粋なファン活動だった……
「rouge en rouge」。かつては親友、今は決別した同人ゴロの波島伊織(はしま いおり/演:柿原徹也)が代表を務める大手同人サークル。メイン原画に抜擢された出海は、数カ月前までは零細サークルだった。アニメ一期では、出海の才能を見出した倫也が全力でコミケを支援。初めて完売することができた。出海の同人誌は、同じ作品を愛するファンたちと親交を深めたくてはじめた、純粋なファン活動だった。それが数カ月で、売上至上主義の兄貴の手に落ちてしまった。
悪堕ちした証拠として、黒いゴスロリ衣装もバッチリ決まってる出海。
「ごめんなさい倫也先輩……。でも、そうしないと、沢村先輩と戦えないから」
どうやら澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・スペンサー・えりり/演:大西沙織)への強い対抗意識がある様子。ちなみに倫也が出海を褒めるたびに、英梨々が足蹴り・頭部への打撃と容赦ない。英梨々はずっとこんな感じですけど、嫉妬丸出しで隠そうとしない英梨々がむしろ可愛らしい。
「ポッと出の無名作家にいつのまにか追い抜かれて、絵も描かずに日がな一日Twitterで粘着するだけのなんちゃってイラストレーターに落ちぶれたりしないでくださいね」
出海ちゃん、毒、毒! 第1期ではあんなにピュアな子だったのに……。英梨々と出海の殴り合い(!)はマンガのコマのような線画になっていて、なかなか見ないユニークな演出。女の子たちのギスギス感を上手くギャグに昇華しているなあ。
■波島伊織は悪いヤツなのか?
1期でもヒール役だった伊織。でも波島伊織は悪いヤツなのか問題をここで提示したい。伊織が今回やったことは、
・才能のある妹・出海を器用
・優秀なクリエイター集団を引き抜く
どちらも良いゲームを作るために尽力しているプロデューサー職。引き抜きも、才能のある人間がより良い条件で働くことは正しいことだと思う。
さらに伊織の目的は「人気のある作品を使って、自分の地位を向上させたいだけ」(原作3巻62ページから)。「名声」欲は悪いことではない。では倫也が毛嫌いする部分は……それは作品に対する考え方だ。
「だから最初から言ってるじゃないか、僕の目的はオタクの世界でのし上がることだって」
「なら自分で一から積み上げてみろよ。せめてクリエイターの人たちを食い物にするのはやめろ!」(アニメ1期・7話)
原作のセリフだとこうなっている。
「俺たちユーザーは作品だけを愛してればいいだろ? わざわざスタッフと個人的に仲良くなる必要なんてないじゃないか!」(3巻・64ページ)
有名同人作家の柏木エリ(英梨々)と、人気ライトノベル作家の霞ヶ丘詩羽(かすみがおか うたは/演:茅野愛衣)を引き入れたお前が言うかっていうブーメランになっているけれど。
伊織も倫也も似た者同士。しかし倫也の純粋なオタク魂には、伊織の儲け主義が不純に見えて許せないのだ。今回の同人ゲーム対決は、英梨々と出海のイラストレーター対決のほかに、倫也と伊織の主義主張をかけた戦いも含まれている。
『冴えない彼女の育てかた♭』3話 悪堕ち出海は黒いゴスロリ衣装に。あんなにピュアな子だったのに……のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、柿原徹也、下乳、ライトノベル原作、大西沙織、冴えカノ♭、亀井幹太、丸戸史明、かーずSP、17年4月期アニメ、赤崎千夏、安野希世乃、冴えない彼女の育てかた、冴えない彼女の育てかた♭、富士見ファンタジア文庫、矢作紗友里、松岡禎丞、茅野愛衣、A-1 Picturesの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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