『サクラクエスト』4話 由乃国王、サーバルちゃんみたいになる「すごーい!」

■勉強しろ、国王!

 問題は、伝統工芸に対する由乃たちの無知だ。
 観光協会の活動に否定的な織部千登勢(おりべ・ちとせ/演:伊沢磨紀)は、観光協会に対して伝統工芸の「誇り」を強く訴えている。非常に保守的な考え方で、工芸品によけいな手を加えるな、という趣旨の話だ。
 彼女の言うことも、決して間違いではない。由乃たちはこの町の伝統工芸を「すごい」とは思っても、何がどうすごいか、全く勉強していない。

 TVアニメ『アイドルマスターシンデレラガールズ』では、2人のアイドルが江戸切子職人のところにインタビューに行くシーンがあった。自分の仕事をこなすことに必死になりすぎて、工芸品に全く興味を持てておらず、職人をひどく落胆させてしまった。職人の誇りとプライド、工芸品を見ていなかった。(ちなみに現実の江戸切子協同組合は、取り上げられることを放送時に知らなかったようで、後日正式にコラボも行われた)

『サクラクエスト』4話 由乃国王、サーバルちゃんみたいになる「すごーい!」の画像3『アイドルマスターシンデレラガールズ』での伝統工芸・江戸切子の扱いも繊細だった。その後はアニメファンの間で話題になり、今ではすっかり人気に

 一志が由乃たちに、この彫刻の木が何なのか問うた時に、彼女たちは答えられなかった。作品に感動はしていたけれども、工芸に全然興味を持っていなかったのだ。
 新製品開発やコラボをする時、最も大事なのは「なぜ必要なのか」だ。もし由乃たちが勉強しつくし、考え抜いた末に「この計画には、どうしてもこの工芸品が必要なんです!」と説得できたら、一志と会話はできたはずだ。工芸の哲学を抜きにして「町にあるから使おう」というのは、千登勢の言うとおり誇りがない。早苗のいう「なんとかしたい」は、悪気のない上から目線だ。

 京都の黒染め師の方のように、思想と商品が合致するのならば。間野山町にしかない木の素材と技術を生かして、新しい何かを彫ることも、不可能ではないはず。「木彫り」は付加価値ではないのだ。

 今回グッと来たのは、文句だらけの千登勢が、織部凛々子(おりべ・りりこ/演:田中ちえ美)に対して「国王と一緒に何かやるのはいいよ。ただし、きちんと私に報告しな」と言ったシーン。おばあちゃん……!
 着実に痛い目を見ている由乃たち。イコール、着実に視野が広がり、成長している。怒られるたびに、気持ちいい。だんないよー。

(文/たまごまご)

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