『たすけて!ドクター・ドク太』大人も楽しめる『コロコロコミック』の最新医療マンガ

「別冊コロコロコミック」で連載中のマンガ『たすけて!ドクター・ドク太』(作:神内アキラ/共に小学館)の第1巻が3月28日に発売されました。可愛らしい絵柄と、子ども向けのマンガとは思えない考えさせられるストーリーが魅力の作品です。

 ある日、九久小学校に転校してきた小学5年生の井両ドク太が本作の主人公。普段から白衣をまとって聴診器を首にぶら下げているなど医者の格好をしています。クラスメイトから「医者のコスプレなんかして」と笑われていますが、ドク太は「本当の医者だよ」と主張。ドク太は“心の病”に特化した医者で、九久小学校の患者たちを次々に救い始めるのでした――

 物語は基本的に1話完結のストーリー。第1話ではクラスメイトの女子・ともみの机に「バカ」「ブス」「死ね」などと落書きされていることが問題に。ともみはこのようなイタズラ被害に最近立て続けにあっており、クラス内で犯人探しが行われ出します。有力候補に挙がったのはクラスの嫌われ者でガキ大将の恐山。恐山はともみに告白してフラれたとあって動機は十分。クラスの人気者の茂木も「断定はできないけど可能性は高いかも……」と推測。茂木は困っている人にはすぐに救いの手を差し伸べる、優くて女子人気も非常に高い男の子。

 しかしある日の夜、何者かがともみの机に「死」と「苦」を連想させる花・シクラメンを置いているところをドク太が発見します。犯人はなんと……一応名前は伏せますが(バレバレだと思いますが)、犯人の動機は心の病の一つ“孤独”からきたもの。転校を頻繁に繰り返す犯人は、クラスの輪に入るために、自らが事件を起こしてそれを良い人ぶって解決することで今までクラスに溶け込んできたといいます。

 犯人が心の内を明かすと“孤独”の病魔がバケモノのような形で実体化してドク太に襲いかかりバトルシーンに突入。ドク太は武器のようなメスやら注射器を使って病魔を倒して、「手術成功、あとは患者次第」と決め台詞を放ちます。医療ものだけど解決方法が物理的な実力行使なのがとても「コロコロ」っぽいですね。病魔が取り払われた犯人はクラスメイトに真相を全て明かして謝罪。みんなも許してくれて一件落着となるのでした――

 と、このように同作ではある“心の病”を抱えた人をドク太が解決していきます。第1話では“孤独”という分かりやすいものでしたが、この後の患者たちは、自分を有能に見せたい“虚栄心”、友達を自分だけのものにしたい“独占欲”、子供を思い通りに操りたい親の“支配欲”、親友の成功に対する“嫉妬”などを抱えており、読者層を考えるとかなり重そうなテーマの話。しかも“嫉妬”に関しては、親友に“嫉妬”してしまうことに自己嫌悪する女の子、というさらに一歩踏み込んだ内容。

 絵柄やバトルシーンは「コロコロ」の作品らしくなっていますが、ストーリーだけ見れば中学生や高校生にも十分通用しそうな深い話が魅力の『たすけて!ドクター・ドク太』。最近の子供はこんな作品を楽しく読むのかよ! ませてるな! と思わず突っ込んじゃいそうなほど大人も楽しめる作品となっています。

(文・白子しろこ)

『たすけて!ドクター・ドク太』大人も楽しめる『コロコロコミック』の最新医療マンガのページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!