世界を舞台に様々な恐怖ドラマをお届けする、井口昇監督の紙芝居アニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京ほか)。第1話では森の中、第2話では雪山……と、いかにもヤバいのが棲んでいそうなロケーションだったが、第3話の舞台はアメリカらしき荒野のど真ん中。はたしてどんな恐ろしいモノが登場するのか!?
ヒッチハイカーのノエルは限界だった。だだっ広い荒野で車を拾おうとしているが、もう2日も飲まず食わずだったのだ。途方に暮れていると、そこへ一台のピックアップトラックがやって来た。運転していたのは美しい女だった。すんなり乗せてもらうことになりホッとするも恐縮するノエル。
「あぁ、助かった。もう2日半飲まず食わずで……」
「泊まるところはあるの?」
女は優しく言葉を返すが、会話はあまり続かない。
「気にしないで」
「泊まるところはあるの?」
どんな会話を振っても反応は同じだ。表情も変わらない。おかしい。助手席のノエルはだんだん不安になってきた。
「……あのー、適当なところで降ろしてくれていいですよ?」
「いいわよ」
が、一向に車を止める様子のない女。ラジオノイズがやかましいが、気にする様子もない。
「……ラジオ、消さないんですか?」
「泊まるところはあるの?」
またしても同じ言葉を返すと、女は急にアクセルを踏んだ。車は蛇行しなから凄まじい速度で走り続ける。ノエルは思わず女の顔を覗き込んだ。
車のパーツが無数に突き出て女の左半身を貫いていた。顔も身体も、助手席から見えないところが車に「食べられて」いる。
恐れおののくノエルの足元で、車のパーツが蠢いた。ノエルの皮膚を突き破り、身体の中を食い荒らす。悲鳴を上げるノエル。車はそのまま荒野を走り続ける。人間を食らいそれをエネルギーにする食人自動車。女は男を呼び寄せる疑似餌だったのだ――。おわり
人食い自動車である。この溢れるB級感! しかも最初の1分で真相はバレバレなのだが(女の声が不自然に小さい)、素直に演出されているので気持ちよくホラー気分に浸っていられる。
ヒッチハイカーを襲う白昼の悪夢! 『世界の闇図鑑』第3話「荒野を駆ける死神」レビューのページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、井口昇、JUP-ON STUDIO、17年4月期アニメ、世界の闇図鑑、吉野ウーロン太、森野達夫の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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