『月がきれい』2話 異性が全力で走る姿は美しい、鈍足でも全力で走れば女子は見てくれてる(きっと)

──文学好きの中学生男子と陸上部の中学生女子の、ほのかすぎる恋を描く『月がきれい』。地味アニメが好きなライター・大山くまおが全話レビュー。中学生男子の必殺技、電灯の紐ジャブは今週も繰り出されたのか!? *第1話レビュー

『月がきれい』2話 異性が全力で走る姿は美しい、鈍足でも全力で走れば女子は見てくれてる(きっと)の画像1『月がきれい』公式サイトより

■男子中学生と女子中学生が体育祭でドッキリ


 川越市の中学3年生、安曇小太郎(演:千葉翔也)と水野茜(演:小原好美)。文芸部の小太郎と陸上部の茜は同じクラスでもほとんど接点がなかったが、ちょっとしたことでお互いに意識しはじめるようになる。そして迎えた体育祭――。 

『蒼き鋼のアルペジオ』シリーズなどで知られる岸誠二監督が、多感な中学生の等身大の恋愛に挑んだ意欲作。脚本は『瀬戸の花嫁』などで岸監督とタッグを組んだ柿原優子。ベストセラー小説『君の脾臓をたべたい』(著:住野よる/双葉社)などの装画を担当したイラストレーター、loundrawがキャラクター原案を手がけている。

■どうして異性が全力で走る姿に心奪われるのだろう


 第1話では物語の舞台となっている川越の美しい風景や、体育倉庫の中でキラキラと光り輝く埃など、小太郎と茜を取り巻く世界を瑞々しく描いていたが、第2話「一握の砂」では中学最後の体育祭を通して、さらに2人が接近していく様子が描かれていた。

 Aパートでは、体育祭でしなやかに走る茜の姿を小太郎が見る。ちょっとお尻のあたりに目が行ってしまい頬を赤らめる小太郎だが、次第に走る姿そのものに心惹かれていく。村下孝蔵の「初恋」という曲に「放課後の校庭を 走る君がいた」という歌詞があったが、どうして異性が全力で走る姿に人は心奪われるのだろう。鈍足の小太郎が途中で転びながらも、照れたり、不貞腐れたりせずに、最後まで全力で走りきったのもポイント高い。女子はこういうところを見ている。

 Bパートでは、なくしたイモのマスコット(川越の名物はサツマイモ)に気を取られた茜のミスを小太郎がカバーし、さらにマスコットも一生懸命探して見つけ出す。失敗したときや困っているとき、自分のために頑張ってくれる男子に好感を持たない女子はいないだろう。ちょっと意識している相手なら、なおさらだ。

 夕焼けに包まれた教室で、真正面から見つめ合って言葉を交わす小太郎と茜。「走るのが好きで」と話す茜を見て、小太郎は自分の小説に対する「好き」を再確認する。恋は男を成長させるのかもしれない。夜には茜からラインが来て、小太郎の電灯の紐ジャブが今週も炸裂!

 今週の中学生男子あるある:いつの間にか女子たちにあだ名をつけられている。筆者もそんな経験があったのをちょっと思い出した。でも、その恋は実らなかった。

■まさかの三角関係、四角関係の予感!


 もう一つ、第2話のポイントは、第1話でほとんど登場しなかった小太郎と茜の友人たちだ。今回は、茜と同じ陸上部で活発なショートカット娘の西尾千夏(演:村川梨衣)、茜にあからさまにアプローチする陸上部部長の比良拓海(演:田丸篤志)、“不思議ちゃん”風の男子・山科ろまん(演:筆村栄心)らがクローズアップされていた。

 特に茜に思いを寄せる比良は、今後も小太郎の恋のライバルとして存在感を増しそう。比良と小太郎が体育祭で同じ組で走ったのは象徴的だ。また、オフィシャルサイトの人物相関図によると、千夏から小太郎に向かって「気になる」の矢印が伸びている……! なんだか心配な展開が待っていそうだ。

 本編後の「short episode」を見ると、クラスメイトそれぞれのドラマが透けて見えてくるのも面白い。彼らはモブではなく、ちゃんとそれぞれが生きているのだ。

■生活感を大事にしている『月がきれい』


 それにしても『月がきれい』の描写の細やかさには驚かされる。第2話の冒頭、安曇家の朝食風景が映し出されるが、小太郎のモノローグの後、小太郎の母がゴミの袋を重そうに持ってフレームの外に出ていくところまで描写されてからオープニングタイトルに移る。観る側としては「そこ、いる?」と思ってしまうのだが、それだけこの作品が生活感を大切にしているということだろう。今後も“細かすぎる描写”に注意して観てみたい。

 小太郎の太宰治マニアっぷりは相変わらず。サブタイトルの「一握の砂」は石川啄木の詩集のタイトル。内容云々というより、走っていて転倒した小太郎の手についた砂から連想したものなんじゃないかと推測している。
(文/大山くまお

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