登場キャラの“個性”がより光る！ 『ヒロアカ』公式スピンオフ4コママンガ『僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!!』レビュー

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『僕のヒーローアカデミア すまっしゅ!!（2）』（集英社）

　現在、アニメ第2期が放送中の『僕のヒーローアカデミア』（作：堀越耕平／集英社）だが、その公式スピンオフギャグ4コママンガ『僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!!』（作：根田啓史）も人気を集めており、昨年11月にはコミックス第2巻が発売されている。最初の頃こそ本編に即して、主人公・デクとデクが憧れるヒーロー・オールマイトとの出会いや雄英高校までの入学経緯が描かれるが、入学してしまえばA組メンバーの“個性”がたっぷりと描かれる！　試験あり、体育祭あり、職場体験などのイベントも満載の中、普段はあまり光の当たらないメンバーもクローズアップされるぞ！

　中でも面白いのはまず、やたらこだわりすぎるあまりか、料理まで完璧にこなしてしまうバクゴー（個性：爆破）。日誌も細かく書くぞ！　見た目はオラオラだし、性格も原作まんまでちっとも柔らかくなっていないのに、何故か何でもきっちりこなしてしまう。デキる男はたとえギャグマンガでもデキるんですな！　そしてもう一人のイケメン、轟（個性：半冷半燃）。ヤオモモちゃん（個性：創造）を気にかけたり（あくまで一個人として）、デクに父親の話をしたり、原作よりは多少とっつきやすいイメージになっているものの、逆にあらゆるものに鈍感さんすぎてかわいすぎる!!

　一見モブだけど、バクゴーの親友（？）切島も、いい味出してます。半端なく自己中のバクゴーの相方が務まるのは、“硬化”が個性でバッキバキに硬い彼だけ！　どんなに周囲を破壊されようとも、武器代わりに投げられようとも……！　うんうん、これぞ男の友情かな？　そしてあまり需要のない“帯電”の個性を持った上鳴くんも、こちらでは使われまくり。とにかく屋外ではコンセントとして重宝されているようです。“イヤホンジャック”が個性のジローちゃんとの掛け合いもなかなかの見応えですよ。

　お嬢様のヤオモモちゃんは、何でもできるのにメンタルが弱くて「わたくしなんて……」と悲観的な爆乳乙女。少しでも人の役に立てたというだけで元気が出ます。そしてヤオモモちゃんに相反して、貧乏ヒロインのお茶子さん（個性：無重力）は、いつでもお腹をすかせた子犬のよう。食べ物が絡むと途端に目の色が変わりますよ。日頃から苦労してるのね……。時にはスポ根監督になったりして、こちらもいつも以上にキャラが立ってます。

　さて、ジローちゃんはギャグマンガの中ではツッコミの立ち位置で、主に上鳴や峯田に突っ込むことが多い様子。時には世間知らずのヤオモモちゃんの心配もしつつ、テキパキとまとめていくしっかり者さん！　“蛙”の個性を持つ梅雨ちゃんは地味に登場しますが、喜ぶと泣く（もちろん「ケロケロ」と）とか、池の水を持ち歩いてるとか、謎設定盛りだくさん。沼で自主練中に、ジローちゃんや上鳴に感電させられてしまうハプニングにも笑っちゃいます。

　案外紳士な常闇くん（個性：黒影）は、相変わらず口数は少ないものの、ピンポイントで面白いところを突いてくる！　本編でもっと彼の活躍を見たいです。“テープ”が個性の瀬呂くんは上鳴同様、しょっちゅう便利に使われるのですが、普段あんまり出てこないキャラだから新鮮で良いです。あと、影の薄い尾白くん。花見の場所取りをいていてもなお、忘れ去られるほどの存在感のなさで、見事にヴィランを出し抜いたりしてます。むしろ尾っぽよりもその存在感のなさの方が個性だね！

　そんな感じで、いつもわちゃわちゃしている『僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!!』ですが、本編がシリアス展開中なので、なおさらこちらでほっこりしたいところかも知れません。6月発売予定の第3巻には、さらにパワーアップしたオモシロ4コマが掲載される予定なので、今からもうワクワクなのです。気になる読者は、スマホアプリ「ジャンプ＋」の月曜日更新でどうぞ！
（文／桜木尚矢）