『笑ゥせぇるすまんNEW』第2夜 童貞みたいな中年は、昔はもっと生きづらかったのか

──『笑ゥせぇるすまん』放送当時に生まれたゆとり世代の山川悠です。やたらと褒めてくる女性、ボディタッチの激しい女性、キャバクラ嬢。色気に弱い私が、『笑ゥせえるすまんNEW』を毎回レビューしていきます(1回ごとに2話放送)。*第1話レビュー

『笑ゥせぇるすまんNEW』第2夜 童貞みたいな中年は、昔はもっと生きづらかったのかの画像1アニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』公式サイトより

■やっぱり奇数話は女とお酒に失敗する話

 第1話1本目のエピソードでは、巨乳のホステスに惚れた男が、先輩の分も合わせて50万円をお店に支払うことになった。第2話1本目も女と酒が絡んでくるエピソード。

■「温泉奇行」

 主人公は、木原志佐雄46歳。安月給を妻から罵られる恐妻家。出張先から「明日も仕事で帰れなくなった」と電話で嘘をつき、温泉街をうろうろしてたところ、喪黒さんと出会う。
 幻怪亭に到着して温泉に入る2人。

 「男としてのアバンチュールが欲しい」

 という木原の内なる思いを見抜いた喪黒さんは、芸者を呼ぶ。

 2人の芸者がやってくる。
 木原の妻にそっくりな姐さんと、若くて売れっ子のちぃちゃん。
 ちぃちゃんは、日本酒をコップでぐびぐび一気飲みし、頬を染める。クラクラっとなった木原は、ペース配分を誤って潰れてしまう。酔いが醒めたあと、喪黒さんから「ドーン!」と後押しされ、ちぃちゃんとサシ飲みすることになるのだが……。

■「マボロシガイシャ」

 主人公は出社伊夜太24歳、勤め先で精神的苦痛を受けて退職した青年。昼間から川を覗き込んでいるところを、喪黒さんに自殺しようとしていると勘違いされる。

 再就職を恐れる出社に、喪黒さんは真幌会社を紹介する。なんらかの事情があって会社に行けない人たちが、社会復帰のトレーニング(仕事っぽいことをしているが、給料が出ているかは不明)をする施設。毎日役職が変わり、上に立つ人間の気持ち、使われる人間の気持ちを理解させる仕組みになっている。

「いいですか、出社さん。マボロシガイシャはあくまで社会復帰に向けたトレーニングの場所ですからね、ハマりすぎてはいけませんよ」

 初日が終わってから忠告を入れてくる喪黒さん。しかし、出社は上の役職に就くたびに、効率化を求め、ブラック上司に進化を遂げていく。

■新旧『笑ゥせぇるすまん』比較 

「温泉奇行」を旧作と比べてみる。
 ちぃちゃんからお酌を受けて一気飲みする木原は「まぁ素敵な飲みっぷり!」と褒められる。
 注目したいのは、木原がすっかりいい気になって、ちぃちゃんにお酒を注ぎ返そうとするシーン。このときの台詞が旧『笑ゥせぇるすまん』とは違っている。

 旧「き、きみもどうかね?」
 新「ち、ちーちゃん。君もどうかな?」

 旧作の語尾はいかにも中年男性のもの。大人の余裕をアピールし、必死で緊張を隠そうとしている。
 対してNew木原は、素で緊張している。旧と比べてずいぶんてらいのない若者口調だ。

 既婚者でありながら、女房以外の女性とお酒を飲んだことすらない、という木原は、家庭内でも長いこと性交渉はなさそうだし、セカンド童貞キャラである。

『笑ゥせぇるすまん』の前身『黒ィせぇるすまん』が「漫画サンデー」で連載開始されたのは1970年前後。『日本の童貞』(渋谷知美)によると、「童貞=宝」から「童貞=恥」というように、童貞に対する世間の認識が変わり始めた時期だという。つまり、「男たるもの初体験の早さは勲章」という時代にシフトしつつあったのだ。

 それから約50年。「どどどど童貞ちゃうわ! 」の時代である。「童貞=恥」というより「自虐」。「魔法を使える」という説もあり、さすがに宝だとは自慢はできないものの、笑いを含んだ対応ができる時代。それ反映して、木原の発言は年下の「ちぃちゃん」に甘えているようにもとれる。

 旧木原は、「〜かね?」と問うことで「私は童貞ではない」と強がっていた。そうしなければならなかった、切ないな。

(文/山川悠

『笑ゥせぇるすまんNEW』第2夜 童貞みたいな中年は、昔はもっと生きづらかったのかのページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!