福井セイ『すうの空気(フェイズ)攻略』どこまでネタが息切れせずに続くのか……

 とにかく、尖った設定のヒロインを用いた作品を次々と送り出す、サンデー系。きっと、ある程度歳を食った男性は、こういう変わったタイプのほうがグッとくるのだろう。

 と、書いていて思ったのだが、やたらと話題になって「ビックコミックスピリッツ」(小学館)に移籍した『恋は雨上がりのように』(作:眉月じゅん)なんて、まさに、オッサンのためのファンタジー。考えてみれば、萌え萌えしているヤツらも年々歳を食っているわけだから、そうした世代に対応するファンタジーは増えていくのであろう。読者が「俺だけが、この娘をわかってあげられる」とか「俺もいつか、こんな娘との出会いが」と、一人悶々とするような作品が。

 そんな世界に新たに投入された、福井セイ『すうの空気(フェイズ)攻略』は「サンデーうぇぶり」で配信中の作品である。

 また、トンデモラブコメかと思いきや、ちょっと違う。どこまでテンションを保つことができるのか、ハラハラしてしまう出オチマンガであった。

 物語のヒロイン・海島雛(すう)は、本土の高校に通うことになった天然娘。それまで、彼女が暮らしていたのは、阿波弁を使う人々が暮らす離島。そんな島から出たことのない娘のために、母親が渡したのは「困った時に開け」という「空気(フェイズ)攻略マニュアル」であった。

 かくて、入学した高校では学校生活の順序通りに、困ったことが次々と巻き起こる。まずは、自己紹介でも、島では同い年の友達などいなかった雛は、何を話せばよいのかわからない。そこで、早速開いたノートには、カードバトルのカードみたいなイラストと、母の考えた攻略法が記されていたのである!

 この母作成のノート、いちいちカードバトルみたいなイラストと共に「空気 閃剣の初太刀(フェイズ シャインファストローク)」とか、まったく意味のわからないことが書いてある。ただ、続く記述では攻略法もバッチリ。自己紹介では「わたしはラブリー星のお姫さま!」と手を振るとか、記されているのである。

 そんな母の指導に、雛が困惑し、ツッコミながらも、その通りにやってしまい、なぜか事なきを得るのが物語の基本スタイル。友達の作り方や、部活の選び方などでも、次々とノートを通じた母の指導が展開されていくというわけである。

 結論からいうと、困惑しながらもノートに従ってしまう天然な方言少女は可愛い。可愛いんだけれど、どう考えてもネタが長くは続かない感があるのだ。1話ごとに登場する、厨二病なネーミングが、どこまで息切れせずに続くのだろうか。

 ひとまず、ヒロインが魅力的という点では高く評価できる作品だけに、今後の展開が気になるところだろう。
(文=是枝了以)

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