そして、そのリアリティは他の出演者からも感じられる。ナノカの行く喫茶店で働くリナ。演じるのは松井玲奈だ。
かつて自分が演じていた少女の役に挑むナノカを見守るという役どころは、かつて所属していたSKE48を見る彼女自身を想起させるし、母親役の松本まりかも、昔自分がいた「若手女優」という存在に、今まさになろうとしている原菜乃華を見ているようだ。
もう一人、この映画で大きな存在感を放っているのが吉田凜音だ。
吉田は北海道出身の16才で、札幌で活動していた頃からボーカリストとして頭角を現し、2014年にメジャーデビューした。高校進学と同時に上京し、精力的に音楽活動を続けている。
今回の彼女の役は、歌手を目指して歌を歌っている生徒会長、凜。ここでもまた、現実とフィクションが入り交じる。
映画の中で吉田は実に楽しそうに歌い、踊る。
私は彼女のライブを何度も見ているが、そこでの“楽しくて仕方がない感”が、スクリーンを通して存分に伝わってくるようだ。
原と吉田、お互い若くして夢の入り口に立った二人の気持ちの繋がりも、またリアルなものであると思う。
そう、これまで述べてきたように、確かなストーリーがありながらも、キャストそれぞれの思いを写し取っている、それがこの映画の仕掛けだ。
今、48系グループの作品を中心に、アイドルのドキュメンタリー映画は結構ある。若手女優を起用したフィクションの物語もたくさんあるだろう。しかし、完全なフィクションでもない、ドキュメンタリーでもない、その境界線にある不思議な映像がこの映画なのだ。その浮遊するような感覚に、ただただ身を委ねるのがこの映画の楽しみ方だろう。
何より、今の年齢でこれだけの存在感を放つ原菜乃華という女優が素晴らしい。彼女はこれから、芸能界で大きく羽ばたいていくものと思われる。
そして、この映画は、その原点を見ることができるという点で、長く長く愛されていくものに違いない。
(文=プレヤード)
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