『サクラクエスト』1話 就活失敗女子、限界集落寸前の町で疑問だらけの行動の末、国王になりました

■誰かに必要とされるために

 ただ彼女の中に、仕事を頑張ろうとする芽は、見える。
 町に着いたばかりの時、人違いで自分は必要とされていなかったことに気づいてへこむ彼女。侃々諤々もめる観光協会で、初対面の相手に対して引け腰にならずに、思い切って口を挟んだ。
 由乃「とりあえず、こんな小娘ですけど」「もしみなさんが必要としてくれるなら、私今日1日…」
 これを聞いて、渋っていた門田丑松(かどた・うしまつ/演:斧アツシ)の心を動かし「よし、これも何かの縁じゃ」とGOサインを出した。必要な人材だと認めた。

 自分から率先して動けば、人に必要とされる。自信がなくても、失敗して責任を取れなくても、まずは飛び込む勇気。由乃は、良くも悪くも、それができる人間なのをきっちり1話で見せてくれている。
 ラストシーン。子どもの頃に間野山市に来たことを思い出して、国王衣装で椅子に座って眠ってしまう由乃。さんざんごねてたのに、ついこういう行動をしてしまうところ、好感が持てちゃうなあ。地方創生でよく言われる「若者、馬鹿者、よそ者」理論が、由乃には当てはまりそう。

■独立王国ブームってなに?

 80年代、観光協会や地方自治体が町おこしとして、実際に「独立王国」を盛り上げた時期がある。その数、全国で200以上。実際にある(あった)ものを紹介。

・吉里吉里国:村が国家から独立する様子を描いた井上ひさしの小説『吉里吉里人』をモチーフに、岩手県上閉伊郡大槌町が独立宣言したもの。今は東日本大震災復興のため、「復活の森」プロジェクトを行っている。
・イノブータン王国:和歌山県すさみ町。イノブタを題材にしたネタ独立王国。イノブタダービーをはじめとし、今も現役活動中。
・ニコニコ共和国:福島県二松市で1982年に開国。温泉街で使える地域通貨「コスモ」を発行するなど、凝ったネタで大いに盛り上がった。2006年に「日本国への統合」で幕を下ろす。

 今残っているのはほんのわずかで、ほとんどはバブル崩壊後の90年代を乗り越えられなかった。
 アニメ内の「チュパカブラ王国」(かつてはカブラ王国?)、20歳の由乃が幼少期に来国していたのだとしたら、00年前後までうまくやっていて、そこそこ話題になっていたはず。門田さんが過去の栄光にこだわるのは、大いに分かる。
 現実の僻地の町おこしは、笑えないほど大変。失敗した例は山ほどある。このアニメではどこまでリアルを盛り込んでくるんだろう。

 ところで『SHIROBAKO』の作中で「限界集落過疎娘」という作品が出てくるのだけど、ひょっとしてこのアニメのことなんですかね?

(文/たまごまご)

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