アニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』第1夜がすこぶる『ドラえもん』だった件、ドーン！

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───『漂流教室』の関谷や、『幽☆遊☆白書』の戸愚呂兄みたいなゲスキャラが好きな山川悠です。90年前後に放送されていた『笑ゥせぇるすまん』（89～92年）と比べて、どんな違いが出ているのかを中心にレビューしていきたいと思います（1回ごとに2話放送）。

アニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』公式サイトより

■笑ゥせえるすまんはブラックドラえもんみたいな話の流れ

『笑ゥせえるすまんNEW』は藤子不二雄(A)作のブラックユーモアマンガが原作。　
　物語は、うだつのあがらない人物が喪黒福造からサービスを提供されるところから始まる。やがて、素晴らしいサービスに目がくらんで規約を破り、最後は罰を受けるのが基本的な流れ。ブラックなドラえもんみたいな感じである（喪黒さんとドラちゃんは同じく中肉中背で体型もそっくり）。吉田ひろゆきのマンガ『Y氏の隣人』にも近い。

『笑ゥせぇるすまん』（１） (藤子不二雄（A）デジタルセレクション) Kindle版

■「白昼夢」

　主人公は中島健一29歳、サラリーマン。お昼休みに先輩社員の坂巻（90年版では同僚）の誘いを断れず、スナック「club 白昼夢」にやってくる。喪黒さんが坂巻に紹介した店らしい。
　ホステスの中で（明らかに他とはタッチの違う）美人で巨乳のハルカが中島の隣につく。
　ハルカの色気に骨抜きにされてしまった中島は、帰社後も気もそぞろ。パソコンを前にタイピングをしていてるうちに、乳を揉んでいる動きになってしまう。

■「ご利用は計画的に」

　主人公は高島ミツコ31歳、OL。会社では、同僚から悪口を言われている。
　ストレス発散方法は買い物。食費や光熱費を削って、服やかばんを購入し、カードは限度額いっぱいまで使う女である。

「買い物の瞬間が快感」だと話していたミツコに、喪黒さんは「AMAZING　EXTRA」というキャッシュカードを渡す。これをお店に出せば、お金を一切支払うことなく、買い物ができる。だが、翌朝、業者がやってきて買ったものを回収されてしまうのだ。
　服、バッグ、ジュエリーなどを買い漁るミツコ。最初はそれなりに楽しんでいたのだが、次第に回収後のむなしさが強くなってくる……。

■NEW坂巻はそれなりに良識がある

「白昼夢」は旧アニメの第12話（90年1月16日）でも放送されたことがあるエピソード。主人公の中島は相変わらず、のび太のポジションにいるが、その隣にいる坂巻の立ち位置は少し異なっている。

　旧坂巻は中島と同期。そそくさとスナックに行こうとする既婚者の中島を尾行し、「奥さんにスナック通いがバレたらどうなる？　じゃ、奢ってくれるな？」と半ば脅迫気味。お店に入れば、「どうせ中島のおごりなんだから水割り頼むぞ〜」と叫んでいた。クビを宣告されたときも「会社がなんでえ！」と顔を赤くして開き直る。

　NEW坂巻はそれなりに良識がある。スナックでは「（最初だけ）ノンアルコール」を注文。後輩相手に「さすがにコレ（お金）が続かねぇんだわ」と、遠回しに奢りを要求していた。上司にドヤされると（クビにはならない）、怯えて顔を青くする。

■ドラえもんのオチで流れるBGMでもしっくりきそう

　NEWではクビの宣告を受けていない分、中島と坂巻の会社員生活は明日以降も続いていきそう。ほとぼりが冷めたころに、また女遊びをして、たくさんの失敗を重ねていくんだろう。再び巻き返しが測れる程度に制裁を受けるのは、ドラえもんのオチにそっくりだ。

　来週は、「温泉奇行」と「マボロシガイシャ」の2本立て。1本目の「温泉奇行」はやはり91年の5月に放送されていた。主人公の木原志佐雄が、飲みまくって意識を失う話。今回同様、お酒で失敗する話である。そんなわけで来週も新旧の見比べをする。

（文／山川悠）